大阪大学理学部化学科

一日体験入学

「分子の世界をのぞいてみよう」


体験実験テーマと概要



1.「試験管でできる炎色反応」


 食塩の水溶液を金属の針につけて炎であぶると黄色く光ります。それが炎色反応で、見たことがある人も多いと思います。今回は同じ炎色反応でも試験管の中で行う炎色反応の実験を行います。激烈な反応で、ちょっとアブナイので慎重に行います。その代わり、すごく強い光が発生します。混ぜる金属を変えると様々な色の光が出ます。それは花火が光る原理と全く同じです。打ち上げ花火を遠くから眺める代わりに試験管の中で作ります。

担当:冬広 明先生(化学専攻無機化学研究室)


2.「高分子で作るオリジナル記念品」


 私達の身のまわりには繊維、ゴム、プラスチックや塗料など、様々な高分子化合物が活躍しており、私達の日常生活になくてはならないものになっています。本デモンストレーションでは実際にあっという間にできてしまう「高分子」を作ってみましょう。理学部化学科一日体験入学記念に素敵な芸術作品を作ります!

 担当:山口 浩靖先生(高分子科学専攻超分子化学グループ)


3.「ピタッと当てれば、ビシッと判る蛍光X線の魔力


 普段何気なく使ったり、身につけているものが何でできているかわかりますか?古い五百円玉と新しい五百円玉の違いは?カラーレンズは何で色がついているの?様々な疑問を解決してくれる装置が蛍光X線分析装置です。はるか遠く離れた火星でも大活躍のこの装置の体験ができます。何でできているか知りたいものがあったら、持ってきてください。彼からもらったネックレスは本当に純金? 但し、結果は知りませんけど・・。

 担当:福本 敬夫先生(化学専攻分析化学研究室)


4CDで虹を調べる」


 太陽の光にはいろいろな色の光が混ざっていて、自然の力でそれをばらばらに分けくれたのが大空に浮かぶ虹です。音楽やソフトウェアの入っているコンパクトディスク(CD)を使ってちょっとした工作をすれば、いろいろな色の光を分けることができる分光器をつくることができます。これを作って、いろいろな光や色の仕組みを調べてみましょう

 担当:宮久保 圭祐先生(化学専攻表面化学研究室)


5.「ホタルの光のひみつ」


「お兄ちゃん、なんでホタルはすぐ死ぬのん?」ホタルを素手でとったことがありますか?熱かったでしょうか?アニメ映画「火垂るの墓」でしかホタルを知らない人も多いかもしれません。ホタルが光るしくみとまったく同じことを、試験管の中で行い、電灯とは違う光(化学発光)の性質と酵素反応について調べます。また、犯罪捜査で使われるルミノール反応を使って、血痕(ろ紙にヘモグロビンで書いた文字)が青く光る様子も体験します。

 担当:豊田 二郎先生(総合学術博物館資料先端研究系)


6.「液晶を楽しもう!


 液晶と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、携帯電話や、ノートパソコン、壁掛けテレビなどのディスプレイでしょう。実は、そのディスプレイの中にトロトロの液状物質が詰まっているのをご存知でしたか?液晶は液体と結晶の中間状態の一つであり、温度や圧力などの変化によってその状態を大きく変えるという性質をもっています。そんな液晶という物質を使って、液晶温度計や、簡単な液晶ディスプレイを作ってみましょう。

 担当:久保 孝史先生・平尾 泰一先生(化学専攻構造有機化学研究室)


7.「マイクロカプセルを作ろう」


 マイクロカプセルは、ミリメートルからナノメートル程度の大きさのカプセルに付けられた名前です。このような小さい器に、ある物を閉じ込めることや、閉じ込めた物をある条件を与えることにより取り出す技術は、複写用紙(ノーカーボン紙)、インスタント写真、持続性医薬品など、日常生活の様々なところで利用されています。

 ここでは、アルギン酸ナトリウムを用いて、いくつかの物質を閉じ込めたカプセルを作り、そのカプセル膜の性質について調べてみましょう。

 担当:柘植 清志先生・井頭 麻子先生(化学専攻錯体化学研究室)


8紅茶からカフェインの抽出


カフェインといえば、コーヒーや紅茶に含まれている眠気を覚ます成分をまず思い浮かべることでしょう。では、皆さんが毎日飲んでいるはずの紅茶の中には、いったいどれくらいのカフェインが入っているのでしょうか?本実験では、ごく普通の売られている紅茶の葉からカフェインの粉を取り出し、眠気覚まし成分の神秘に迫ります。取れてくるカフェインの覚醒効果にひょっとすると夜は眠れないかも。

 担当:田中 克典先生(化学専攻天然物有機化学研究室)


9.「放射線を体験してみよう・身近な放射線」


放射能という言葉の皆さんのイメージはどんなものでしょうか?原爆の実験や東海村のJCO事故などショッキングな事件と結びついて思い出すかもしれません。しかし、私たちは実のところ、大昔からたくさんの放射線に囲まれて暮らしてきました。例えば宇宙から降り注いだり、土や岩石、家の壁からも出ています。それだけではなく私たちの体からも放射線がたくさん出ています。それに気がつかないのは普通の光のようには目に見えないものだからです。しかし、放射線を見るための装置を使えばそれを実感できます。

 担当:高橋 成人先生(化学専攻放射化学研究室)


10赤外分光器を用いた肌の潤い測定

 

物質に赤外線を照射し、吸収された赤外線の波長を測定することによって、その物質を構成している分子の種類や構造を調べることができます。吸収された赤外線の波長の分布が赤外吸収スペクトルです。今回は肌の表面を測定し、肌を構成している物質を調べます。肌のたんぱく質と水分を測定し、水分が多いと肌が潤っていると言えます。その他身近なプラスチックなども測定し、赤外分析の勉強をします。

 担当:大濱 光央先生(技術部分析測定室)


11.「色でみるタンパク質」


動物の肉は赤い色をしています。これは、肉の中に含まれるミオグロビンというタンパク質が赤い色をしているためです。この体験実験では、ウシやマグロの肉からミオグロビンを抽出し、その色を調べます。また、ミオグロビンが化学反応を起こす際に、その色が変化する様子を観察します。生命現象が、タンパク質という分子の化学反応に支えられていることを一緒に考えましょう。

 担当:水谷 泰久先生(化学専攻生物物理化学研究室)