高分子の熱容量

物質の熱容量には、相転移やガラス転移等の熱的転移、さらには分子運動特性などが反映されるため、高分子集合体の性質を調べる上で熱容量を知ることは非常に重要です。当研究室では、自作の断熱型熱量計により様々な高分子系(高分子溶液、ブレンド、共重合体等)の熱容量測定を行っています。

測定原理を下図に示します。

まず、試料を外界から熱的に孤立させ(断熱する)、電気エネルギー(ΔE)を加えます。すると、試料の温度が上昇するので、その温度上昇(ΔT)を精密に(0.001Kの精度で)測定します。そして、加えたエネルギーと上昇温度の比 ΔE/ΔTを熱容量Cpとして決定します。

例えばガラス転移温度では下図に示したようにCpに段差が生じ、このギャップΔCpは分子の回転や並進運動およびコンフォメーション変化さらには自由体積変化等が寄与していると考えられています。また系が不均一になると転移幅がブロードになったり、多数の転移が出現したりもします。

実際の測定装置(断熱型熱量計)

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