高分子集合体の構造形成と相転移
高分子は巨大な分子であるために、多数の分子が集合して形成する集合形態にも多様性や階層性があります。このような構造は、相転移現象を通して変化します。例えば結晶性高分子の結晶化、高分子ブレンドや溶液の相分離、ブロック共重合体の秩序−無秩序,秩序−秩序転移等、様々な相転移にともなう構造形成が知られています。またガラス転移のような相転移ではない単なる分子運動の凍結過程においても、密度や濃度の揺らぎによって不均質な構造が形成されます。このような構造変化の方向は分子間相互作用によって支配されますが、その変化速度は分子運動が深く関係します。系が熱力学的に最も安定な状態に到達する前に、運動の凍結により自由エネルギーの高い状態にトラップされるといったことが起こると(高分子系ではしばしば起こり得る)、分子運動特性(動力学的因子)が形成される構造を大きく左右することになります。一方、相転移の際、温度勾配や電場など外部からエネルギーの流れを与えてやると、系は熱力学的平衡から引き離され非平衡な状態となり、形成される構造がさらに多様になります(散逸構造と呼ばれる)。この現象を利用することによって新しい構造の形成と制御が可能になると期待されます。
当研究室では、高分子融体、溶液、ブレンド、ブロック共重合体を対象に、ガラス転移、結晶化、相分離、秩序−無秩序転移(ODT)等の転移にともなう分子運動特性の変化と、分子の運動性が相転移動力学に及ぼす影響、外場の印加による構造の制御等について研究しています。