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研究内容
 / 実験装置 /

研究内容改定中



注:本ページに記載の内容は、2020年度までの研究内容(旧宗像研の研究内容、参考掲載)となります。
今後の研究の詳細、進学相談については、赤井先生までお問い合わせください。


分子が固体表面に吸着すると、吸着結合を反映し、気相とは異なった新たな電子準位ができます。光励起により吸着分子誘起の占有準位に空孔が形成されたり、非占有準位に電子が入ると、表面における化学反応開始のきっかけとなります。表面化学反応の素過程を理解するためには、吸着分子誘起の占有・非占有準位を理解することが重要となってくることがわかります(図1左)。 

さらに、近年では有機分子をデバイス材料として用いる試みが盛んに報告されています。有機分子―電極界面における電気伝導特性を理解するためには、電荷注入障壁を計測・制御したり、励起キャリアのダイナミクスを時間分解計測することが、デバイスの機能性を理解するための鍵となります。(図1右)。

表面に分子が吸着すると、分子そのもの、固体表面そのもので説明できない新たな電子状態が形成されます。このうち、電子が詰まった占有準位の電子状態を調べる手法は確立しておりますが、非占有準位を計測する手法は限定されております。

 
(図1)化学反応(左)や有機デバイス(右)における非占有準位の役割


我々は2光子光電子分光(Two-Photon Photoemission : 2PPE)を用いて分子吸着表面における非占有準位を計測し、電子励起過程を研究しています。レーザーの開発以後、固体や液体における光吸収では、光子密度の高いコヒーレント光源としてレーザーを用いると2光子吸収をはじめとした多光子吸収過程が存在することが知られるようになりました。

一方、固体表面においても2光子励起を利用した光子光電子分光の試みが行われましたが、議論に耐える結果が得られたのは1990年代のことでした。以後、2PPEは固体表面における非占有準位を計測する分光手法として発展しつつあり、国内外でいくつかのグループが時間・空間・エネルギーの各分解能向上を目指して装置開発を行っています。本研究室では装置開発や、測定装置の性能向上もテーマの一つとして同時に進めております。

2PPEでは光源にフェムト秒超短パルスレーザーを用います。この手法はポンプ光で占有準位の電子を非占有準位に励起し、プローブ光で真空準位上に励起された光電子の運動エネルギーを計測することで表面電子準位を測定する分光法です。(図2)。

   

(図2)表面2PPEにおける光励起素程。占有準位からの2光子吸収、非占有準位を経た2 段階励起過程の模式図。電子分光器では終状態における電子の運動エネルギーを計測しますが、その励起波長依存性を見ることで占有・非占有準位の帰属が可能となります。 


ポンプ―プローブパルスの間で遅延光路を組めば、フェムト秒オーダーでの時間分解測定へ展開が可能となります。(1フェムト秒=10-15秒=0.000000000000001秒)固体表面における電子励起・緩和の過程は数フェムト秒~数100フェムト秒の時間スケールで起こることが多いので、超短パルスレーザーを用いた2PPEは電子励起ダイナミクスを追求するには適した手法と言えます。吸着分子の非占有準位を非破壊・高エネルギー分解能・高時間分解能で計測できる手段としてはほぼ2PPEに限られるますが、パッケージ装置という形で市販されていないので、装置の設計・建設と調整に時間と労力を要するという難点もあります。

本研究グループでは、長年、2PPEによって表面の占有・非占有準位を測定することから吸着分子の化学的性質の理解に迫ろうとしています。さらに、レーザー光を集光させて電子準位をマッピングできる顕微光電子分光装置を開発し、サブマイクロメートルスケールにおける局所電子分光を行ってきました[1-3]。

顕微光電子分光への応用や、光電子顕微鏡・走査トンネル電子顕微鏡との融合により、表面における分子の吸着構造と電子状態との相関について、原子・分子レベルの視点からマイクロメートルスケールにおける空間領域で研究を行っております。

[1]T. Munakata, T. Sugiyama, T. Masuda, and N. Ueno,
Phys. Rev. B 68, 165404-165408 (2003).
[2]I. Yamamoto, N. Matsuura, M. Mikamori, R. Yamamoto, T. Yamada, K. Miyakubo, N. Ueno, T. Munakata, Surf. Sci., 602, 2232-2237 (2008).
[3]R. Yamamoto, I. Yamamoto, M. Mikamori, T. Yamada, K. Miyakubo, and T.Munakata, Surf.Sci. 605, 982 (2011).

実験装置の紹介

下記では本研究室で使用している装置を紹介します。

   第3高調波発生装置 自作
(3set, >10mW, <150fs, @255-310nm)
α-BBOを用いたtime plate方式の採用により、波長変換時も光軸のずれが小さい
  角度分解2PPE装置 (AR-2PPE)
・電子分光器 VG-R3000 
・エネルギー分解能 2.5meV
・角度分解能 ±0.1°
・測定温度 78K~室温
・真空度1×10-10Torr以下
・試料準備室付
・光源SP社 Mai-Tai(780-920nm)
・計測対象:PbPcなど
  時間分解2PPE装置 (TR-2PPE)
電子分光器 VG-CLAM4 
(9channeltrons)
・エネルギー分解能 20 meV
・測定温度 30K~室温
・真空度1X10-10Torr以下
・HeⅠ光源によるUPS
・試料準備室付 
・計測対象:PbPc、ルブレンなど
  時間分解2PPE装置用光遅延光路
光源 COHERENT Mira900F
(最短パルス幅 50fs)
倍波/3倍波、3倍波/3倍波などの組み合わせによるpump-probe分光により、フェムト秒スケールでの表面キャリアダイナミクスの追跡が可能 
  (参考:移転済
2光子光電子放射顕微鏡(2PPE-PEEM)
OMICRON/FOCUS PEEMをベースに2光子励起仕様としたもの。
・測定温度 室温
・超高精度ステージ付属
(位置再現性 50nm)
・光源SP社 Mai-Tai(780-920nm)
・真空度1×10-10Torr以下
  表面赤外反射分光装置(IRAS)
超高真空仕様となっており、
吸着分子の配向決定に使用可能
・真空度5×10-10Torr以下
・計測対象:SAM膜など
  球形チャンバー
・電子分光器 VG-CLAM2
・MCP-LEED(OCI社)
・真空度 5×10-11Torr程度
・測定温度 78K~室温
・計測対象:PbPc、ナフタレンなど
   2PPEチャンバー
・電子分光器 VG-100AX
・真空度 1×10-10Torr程度
・測定温度 ~室温
・計測対象:SAM膜など
・光源Coherent Mira900F+Rega
  UHV-LT-STM
・UNISOKU USM1400
+SPECS/NANONISで制御
・MCP-LEED(OMICRON)
・真空度 5×10-11Torr程度
・測定温度 78 K/室温
・計測対象:2PPEで計測した試料をなんでも!以心電針 - 心を以て針で電子に伝える-の精神で実験。「針供養」も大切な年中行事。
   SAMグループ試料調整室
・汎用AFM/STM
・製膜装置
  昇華精製装置(独自設計、自作)
・高真空(10-6Torr)対応
・電気炉(MAX 1200℃)をタンデム配置することで、train sublimationが可能。
・市販化合物の不純物除去に使用する。純度99%でもまだまだ「汚い」のです。
  おまけ
2PPE 実験中の学究の徒、某K氏

(装置に対する)いとしさと
(超短パルスを究める)刹那(せつな)さと
(最後は粘りがものをいう)心強さと

で実験をしているというのだが。。。


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