Osaka U 大阪大学 大学院理学研究科 高分子科学専攻

高分子合成化学研究室(旧青島研究室)

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境遇に感謝  金澤 有紘

出典:高分子(先輩からのメッセージ)2021, 70, 662.


 筆者は妻と2人の子供(5歳と2歳)の4人家族で,子育て真っ盛りです。ただ,子育てへの自らの貢献度は・・と考えますと,妻(同じ研究室出身)には全く頭が上がりません。いわゆる「イクメンモドキ」を自認しています。「先輩からのメッセージ」を発信するには全くおこがましい身ですが,われわれ夫婦を知る同じ研究室出身の仲間(男女共同参画委員会メンバーの1人)の目に留まってしまい,今回このような機会をいただくこととなりました。
 これまでも「仕事と私事」欄を毎号拝読していましたが,この原稿の執筆依頼を頂いて改めて過去の本欄を読み返しますと,子供をもつ前に読んだ時とは全く違った印象を受けました。子供の発熱時の話などいわゆる「あるある」なトピックに共感したのはもちろんですが,「お乳という武器をもたない私は・・」でのご研究(2013年9月号)は,私も似たこと(子供を抱っこして寝かしつける際の一定周期・角度の揺れの研究)をしていましたので,思わずニヤついてしまいました。そして,読み返しながら自分たちの境遇を振り返り,「いかに周囲の方々に支えられているか」ということを再認識しました。多大な感謝を込めて,私の「私事」を紹介させていただこうと思います。

妻の勤務先:妻は,化学メーカーの知的財産部に所属しフルタイムで働いています。結婚後もずっと,互いの勤務先の関係(私:大阪,妻:東京の後,倉敷に転勤)で別居婚生活でしたが,第一子の出産後,妻は育休明けと同時に大阪に転勤させていただきました。おかげで夫婦ともに従来通りの仕事を続けつつ,家族全員で同居することができました。会社のご配慮には感謝しかありません。第二子の出産・育休を経た現在も,妻は大阪勤務を続けることができています。

学内保育園:2人の子供たちは大学の学内保育園に通っています。毎朝,自転車の前後に乗せて一緒に通勤・通園し,夕方は妻の帰宅時間に合わせて迎えにいき,家に子供たちを送り届けて研究室に戻る,という生活を送っています。子供たちは,親が寂しくなるくらいあっさりと保育園に馴染み,通園することを毎日楽しみにしています。上の子には「もう迎えに来たの?」という顔をされることがよくあります。下の子は普段は何をするにも私ではなく妻にべったりですが,保育園に行くときだけは私にすり寄ってきます。集団生活だからこそ学べることも多々あり,子供たちが日々成長していくのは大変頼もしいです。保育園の先生方にはとても感謝しています。

ピンチ時の助け:「子供の病気と外せない仕事が重なってしまった・・,しかも夫妻ともに・・」というのは共働きの「あるある」かと思います。私たちの場合,隣の市に私の両親が住んでいるため,ピンチ時にこれまで数回お願いしました。また,上の子が保育園に通い出した頃,大学のすぐ近くに病児保育施設が開設されました。幸いなことにまだ利用したことはありませんが,「いざというときには頼める」という安心感はハンパないです。

研究室:私:「子供が発熱したと保育園から電話が・・。面倒を見るのでしばらく抜けます・・。」上司の青島貞人先生:「どうぞ,気兼ねなく。おだいじに。」ということがこれまでに何度もありました。負い目を感じずにスッと抜けさせていただけるので大変ありがたいです。また,保育園のお迎え時間の都合で研究会や雑誌会の時間を決めさせてもらうことが多々あり,研究室の学生たちにも感謝しています。

 ・・とまあ,こんな感じです。書いてみて,恵まれた境遇にあることを再認識し,改めて感謝しかありません。このような理解や子育て環境が社会全体に広がっていくことを願います。
 過去の本欄の話に戻りますと,いま恐れているのは1年数か月後のいわゆる「小1の壁」です(2013年4月号)。ほかにも,節目ごとに様々な壁が待ち受けているでしょう。それでも「何とかなるだろう」と楽観しながら,大学での研究と,子供たちの笑顔(と好物の鍋料理やお好み焼き[2016年7月号「グローイングポリマー」欄;最近はたこ焼きの「研究」も])を肴に芋焼酎を飲む日常を楽しんでいます。



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