大阪大学大学院理学研究科 附属基礎理学プロジェクト研究センター 原田グループ ロゴ
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シクロデキストリン(CD)を用いた超分子合成

修飾CDを用いた超分子錯体の合成 CDによる高分子鎖の認識挙動の解明
外部刺激による超分子錯体の構造制御 超分子エネルギー変換システムの開発
共役分子を有す超分子錯体の合成 Social Self-Sorting型超分子錯体CD
光刺激に応じた超分子ポリマーの配列制御 挿し違いダイマー
シクロデキストリンを用いた並進・回転運動の観察  

光刺激に応じた超分子ポリマーの配列制御

 単糖におけるアシル基転位反応は広く知られているが、α-D-グルコースを構成ユニットにもつ環状オリゴ糖であるシクロデキストリン(CD)のアシル基転位反応についての詳細な報告はない。本研究ではアシル基としてαCD と会合定数の高いスチルベンをその二級水酸基に導入したところ、アシル基の転位反応によって生じる化合物のそれぞれが異なる超分子錯体を形成していることが明らかとなった。さらに今回、スチルベンの異性体に応じて転位速度が異なり、この速度が超分子構造に影響を受けていることを観察した。
 2-StiO-αCD と3-StiO-αCD は置換基であるアシル基(スチルベンカルボニル基)の転位反応により、重水中及び重DMSO 中で互いに異性化することが1H NMR により確認された。重水中45 ℃の平衡状態における2-StiO-αCD と3-StiO-αCD の存在比は17:3 であった([2-StiO-αCD] + [3-StiO-αCD] = 1 mM)。また、重水中における転位速度は溶液濃度に依存し、高濃度におけるほど抑制されることが確認された。更に、紫外光照射 (λ = 320 nm)によりスチルベン部位をトランスからシスに光異性化させスチルベン部位とCD 部位との会合力を低下させると、トランス体よりも転位速度が加速されることが分かった。
 以上から、超分子錯体形成によってアシル基の転位反応が抑制されることが示された。そこで、形成される超分子錯体の構造を調べるために2D ROESY NMR 測定を行ったところ、2-StiO-αCD と3-StiO-αCDの混合溶液中においても同じ異性体同士(2-StiO-αCD 同士、及び3-StiO-αCD 同士)でホモ超分子錯体形成をすることが明らかとなった(図1).

シクロデキストリンによりラクトンの重合。ポリマーのコンホメーションの重要性
Kanaya, A.; Takashima, Y.; Harada A.
"Double Threaded Dimer and Supramolecular Oligomer Formed by Stilbene Modified Cyclodextrin – Effect of Acyl Migration and Photo Stimuli" 
J. Org. Chem., 2011, 76, 492-499.

     

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