理想懸濁液のレオロジー挙動

固体の微粒子を液体に分散させた系を懸濁液と呼びます。中には粒子間の力が剛体反発だけの懸濁液もあります。粒子径の揃った剛体反発懸濁液を特に「理想懸濁液」と呼んでいます。理想懸濁液では粒子の体積分率だけに依存する系統的な線形粘弾性挙動が観測され、懸濁粒子のブラウン運動が系全体のレオロジー挙動を支配していることが分ってきました。

この図は半径が7.5ナノメートルのシリカ粒子をエチレングリコールとグリセリンの混合物に分散させた系の動的粘弾性の測定結果を周波数の関数として示します。G’は系の示す弾性的な寄与をG”は粘性的な寄与を意味します。100rad 毎秒以上の周波数域ではG’が一定なり弾性の寄与がハッキリ現れますが、それ以下の周波数域では弾性の寄与が無くなってしまいます。それに対応してG”には100rad 毎秒程度の周波数で屈曲が見られます。弾性の寄与は粒子濃度に従って強くなることも分かります。粒子のブラウン運動の周波数がG”の屈曲点の周波数と良く一致し、この懸濁液の粘弾性の起源が粒子のブラウン運動であることが示唆されます。

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