Total chemical synthesis of homogeneous folded, misfolded, and productive/nonproductive intermediate form of N-glycosylated crambin for investigation of UGGT recognition
[要約]
このページでは、細胞内で、正しい3次構造をもつ糖タンパク質を生合成される際に、その3次構造が正しいか、ミスフォールドしているかを管理するセンサー酵素UGGT が、糖タンパク質のフォールディング過程をも管理しているか調べたことについて述べる。
糖タンパク質のフォールディング中間体
糖タンパク質がフォールディングするGQC過程では、最終型の3次構造になる前に、フォールディング中間体などが生じる。そこで、UGGTがフォールディング中間体も認識し、リフォールディングを促進するかどうかをよりよく理解するために、梶原グループは先行研究を基に、M9-高マンノース型糖鎖104を持つグリコシル化クランビンを合成し、UGGTの認識を調べた[33]。グリコシル化クランビンは、容易にフォールディングし、正しくフォールディングされた糖タンパク質のみが唯一の産物として得られるため、この研究に適した基質であった。クランビンの配列は、セグメント101(配列番号:1-15)とセグメント102(配列番号:16-46、グリコシル化度:N17)の2つのセグメントに分けられた。両方のセグメントを得るためにSPPSを行った後、NCLによりM9 糖鎖を有する全長のグリコシル化クランビン103が得られ、これをフォールディングすることで天然型のグリコシル化クランビン104が得られた。 また、確実にミスフォールディングしたクランビン105を得るために、ジスルフィド形成ができないようCys3およびCys4をSerに変異させた化合物を合成した。これにより天然型のクランビンと同じジスルフィド結合が揃わないので、ミスフォールディングクランビンとなり、そのフォールディング中間体は、ミスフォールド型へ誘導されるため、非生産的な中間体(unproductive intermediate)と命名した。そして、酸化還元試薬の非存在下で空気酸化フォールディングを行うと、非生産的な中間体を経由し、3種類のミスフォールディングしたグリコシル化クランビン105が得られた。(図12A、上) そして、さまざまなフォールディング中間体をUGGT下そのグルコシル化を追跡した結果、天然型の配列での正しい3次構造に向かうフォールディング中間体も、変異配列のクランビンで、必ずミスフォールディング体になる中間体もともにUGGTによって認識され、G1M9生成物が得られた。この結果、UGGTはフォールディング途中にフォールディング中間体も認識しながら正しい3次構造をもつ糖タンパク質が得られるようフォールディングを制御していることがわかった。