Semi-synthesis of ICOS by utilizing novel thioesterification approach by peptide-SEA
[要約]
T細胞上の共刺激糖タンパク質ICOSを大腸菌発現と化学法を組み合わせて合成した
ICOS
T細胞を活性化する共刺激糖タンパク質ICOSの半合成をおこなった。ICOSの細胞外ドメインは106アミノ酸からなり、Asn89とAsn110に糖鎖が存在する。組換えポリペプチドのチオエステル化を鍵反応として、糖鎖が結合したICOSの収束的合成戦略を検討した。この合成法では、3つのペプチドセグメントと2つの連続したNCLを利用し、完全長の糖タンパク質ICOSの合成を目指した(図16)。ICOSセグメント141(1-62)は、Small Ubiquitin-related Modifier (SUMO)という水溶性のタンパク質および6つのHis (His-Tag)配列を付加させたものを大腸菌発現系で発現させた。発現後、SUMOプロテアーゼによるSUMO配列の切断、そしてSEAによるチオエステル化をおこない、ペプチド-SEA 145を得た。得られたペプチド-SEA 145を、Boc SPPSで合成した糖ペプチドチオエステル142(63-88)とシステイニルペプチド143(89-106)から調製した糖ペプチド146をNCLで連結した。糖ペプチドチオエステル142に関しては、Fmoc-SPPSにより合成した。得られた全セグメントをNCLで順次カップリングし、ICOSの全長糖ペプチドを得た。最後に、段階的透析条件を用い、レドックス試薬を用いたフォールディング操作により、フォールディングされたグリコシル化ICOS 147が得られた(Fig.16)。ELISA、CDおよびMSスペクトルから、半合成したICOSはβシートに富んだコンフォメーションを持つ正しい折りたたみ構造であることが示された。化学合成と半合成を適宜使い分けることにより、より分子量の大きな糖タンパク質を合成することができた。