<研究背景>

物質は数多くの原子、分子が集合した凝集体です。その中では、互いの分子間、原子間、に働く相互作用が複雑にからみあってそれぞれの固有のマクロな性質を作り上げています。
そうした相互作用は個々にはそれ程大きなものではありませんが、協力現象として超伝導や強磁性のような劇的な物性の変化を引き起こします。凝縮相中では電子のもつスピンや電荷、分子運動など様々な自由度が存在しているため、その理解を進め、さらに新しい現象を探索するためには互いの相互作用を取り入れたかたちで考える熱力学的な 観点からの情報が重要です。
私たちの研究グループでは、物質の様々な性質(物性)を理解したり、物質の新しい性質を探索することを主なテーマにしています。物質を極低温においたり、大きな磁場をかけたりして外部環境を変化させていったりして、性質がどのように変化していくかを調べています。独自に作製した微小単結晶用カロリメトリー装置を用いて“微少量測定
(10
m
g-1mg試料)”、“絶対値評価”、“外部環境制御下”カロリメトリーを中心に、分子性物質の様々な物性を研究しています。 新しい現象の探索、その基礎化学的な理解を通して、さらにその奥にある自然のミステリーに迫りたいと思っています。

研究内容

1) 分子性伝導体、超伝導体の物性研究

a) 新規相転移現象の探索

b) 基底状態の解明と低エネルギー励起構造の解明。
  超伝導対形成機構の解明

c) 外場制御による物質の状態の変化の追跡

2) 低次元強相関有機化合物における量子現象の探索

a) 電荷秩序絶縁体、Mott絶縁体の相転移の基礎的な理解

b) 量子力学的な機構の競合による本質的な不均一効果の解明

3) 分子性磁性体、単分子磁性体、
  低次元ネットワーク磁性体の熱力学特性の追究

a) 相転移、ブロッキング現象の探索とその応用

b) スピン反転機構の解明

4) 新規機能性材料への適応を目指したカロリメトリー手法の開発

a) 微小単結晶カロリメトリー b) 強磁場、極低温など環境制御下カロリメトリー

5) 分子性物質の新しい物性の開発

6)分子性結晶素子の開発と、新たな物性の探索
  
  a)単結晶トランジスタ
  
  b)界面電子物性
  
7
)微小試料の熱輸送現象の研究


Reserch 研究内容