| 本特定領域研究の目的と意義 |
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液液界面ナノ領域の化学機能の開発
液液界面における化学反応は,溶媒抽出,液膜分離,界面合成反応,生体膜反応等において重要な役割を果たしている。特に,液滴,液膜,ベシクルのような,バルク相の体積に比べて大きな界面積を有する反応系では,界面反応の寄与が著しく増大する。 液液界面では,両相からの競合吸着,界面触媒反応,吸着分子集合反応,多電子移動反応等,固液界面や気液界面には見られない多くの特異的な反応が起こるが,それらの反応機構は未だ十分には理解されていない。 液液界面は,単に二相を隔てる境界面ではなく,その厚さが1ナノメータ程度と極めて薄い領域において,溶媒構造,静電ポテンシャル,分子間相互作用等が急激な変化を呈する特殊な二次元領域である。そのため,液液界面では,バルク相では見られない反応中間体や分子集合体が生成すると考えられるが,それらの機構を理解し,反応を制御するためには,界面ナノ領域におけるダイナミックな溶質-溶媒間相互作用を解明する新たな手法が必要である。 液液界面は下表に示すような特徴的なナノ構造・ナノ物性を有し,それにより特異的な反応を生起させていると考えられる。本研究では,これらの特徴を分子レベルで明らかにし,液液界面の化学機能を効果的に開発する新たな方法論を展開する。 「液液界面ナノ領域の化学」を開拓する
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| 本特定領域研究の必要性と緊急性 |
液液二相系を利用する分離や合成プラントでは,分離効率や反応収率を1%でも上げようとの努力が続けられているが,バルク相の反応系の改良ではすでに限界状態にあり,現在,界面反応の制御に大きな期待が寄せられている。また,臨床分析や医薬品開発において,マイクロ分析デバイスやコンビナトリアルケミストリーを利用して微小量の試料の機能性評価を行う場合,界面吸着や界面反応の評価が避けられない問題となっている。また,今日まで種々のイオン選択性液膜電極が開発されているが,その界面反応と電位応答の機構は未だに正しくは理解されていない。
これらの問題に対し,古典的な界面張力法や通常の分光法では,液液界面の微量化学種の定量や高速現象の計測は不可能である。このような状況から,新しい界面計測法の開発が強く求められているが,最近,本領域の研究分担者は,相次いで新しい方法論を開発している。このような萌芽的な研究を強力に推進し,界面ナノ領域の新たな機能を開拓することが,今最も必要とされている。
本領域の実施は,液液界面の関連分野に絶大な波及効果を及ぼす。
| 研究組織と研究課題 |
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総括班 「液液界面ナノ領域の未開拓化学機能の開発」 領域代表者 渡會 仁 (大阪大学大学院理学研究科・教授) 研究代表者と評価担当者より構成 評価担当者 赤岩英夫 (群馬大学・学長) 中塩文行 (崇城大学工学部・教授) 計画研究と研究代表者 研究項目A01 液液界面ナノ領域の構造ダイナミクス 「光熱変換分光法を用いた液液界面ナノ領域における分子集団挙動・分子間相互作用の研究」 澤田嗣郎 (東京大学大学院新領域創成科学研究科・教授) 「統計力学的密度汎関数理論に基づく液液界面構造の解明」 Andriy Kovalenko (岡崎国立共同研究機構・分子科学研究所・助手) 研究項目A02 液液界面ナノ領域における輸送・反応ダイナミックス 「液液界面における単一分子反応と集合錯体形成反応の速度論的研究」 渡會 仁 (大阪大学大学院理学研究科・教授) 「レーザー捕捉-分光-電気化学法による微小油滴/水界面物質移動過程の解析と制御」 中谷清治(筑波大学・化学系・助教授) 研究項目A03 液液界面ナノ領域における分子認識検出・分離 「液液界面の特異性を用いる分子認識とSHG分光法による認識機能解析」 寺前紀夫 (東北大学大学院理学研究科・教授) 「液液界面における生体分子の高度認識分離を可能にする分子集合素子の開発」 後藤雅宏 (九州大学大学院工学研究科・教授) |
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