高分子国際交流基金運営委員長を交代して

大阪大学国際高分子交流基金

新運営委員長 上山 憲一


 理学研究科高分子科学専攻の国際高分子交流基金も11年目に入り、これまでは、教官や企業の若手研究者の海外派遣援助(過去11名)、海外研究機関への高分子学会誌の寄贈、留学生への援助、外国研究者の来日と滞在の援助(過去11名)、高分子国際シンポジウムの主催(過去3回)などを主に行い、時代に沿って大きな役割を果してきました。最近では、科研費で海外出張が認められたこと、アジア地区の研究機関が充実してきたこと、当交流基金の財政改革などで、海外出張の援助や学会誌の寄贈の額は減少し、私費留学生の援助も極端に減少しています。これは、日本の高分子研究の諸事情もさることながら、アジア地区の経済規模が拡大したことと、日本の企業の経済事情によるところが大きいと思われます。

 このような状況での委員長交代は荷が重いと思いますが、産業界の方々と共に国際交流を盛り上げていきたいと思います。

 この国際状況の変化に対応して、日本の高分子分野の研究成果を、将来のための財産として、海外にきめ細かく売り込まなければならない時代が到来していると考えます。特に、日本の高分子科学の研究成果を世界に発信するシステム作りの時期がきていると思います。この研究成果の世界への発信は、今まで主に学術論文を通して、また先に述べた国際高分子シンポジウムの主催や、外国研究者の大阪大学訪問の援助、留学生の援助などの方法で積極的に行われてきました。しかし今、これらに加えて、国際高分子交流基金をもとに、高分子科学専攻を中心にした高分子研究成果の英文ホームページの充実、英文研究概要の出版などハード面は勿論のこと、本学卒業生や本交流基金関係者の勤め先における研究活動や、留学生の帰国後の研究活動のサポートなどソフト面の支援にもきめ細かく配慮すべき時期ではないかと考えます。ここでのシステム作りは、情報を一方的に流して空洞化を招くのではなく、何らかの形で、将来、大阪大学の研究活動の向上に跳ね返るシステムを作り上げることを意味します。このシステムが長い間に機能して行けば、将来、本学関係の若手研究者が、高度な先端研究機器を使って高度な研究情報と獲得していくのと相まって、より高いレベルへ理学研究科高分子科学専攻の研究ベースを引き上げることを支援することになるのではないかと期待しています。

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