大阪大学大学院理学研究科 附属基礎理学プロジェクト研究センター 原田グループ ロゴ
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シクロデキストリン(CD)を用いた超分子合成

修飾CDを用いた超分子錯体の合成 CDによる高分子鎖の認識挙動の解明
外部刺激による超分子錯体の構造制御 超分子エネルギー変換システムの開発
共役分子を有す超分子錯体の合成 Social Self-Sorting型超分子錯体CD
シクロデキストリンを用いた並進・回転運動の観察 挿し違いダイマー

CDによる高分子鎖の認識挙動の解明

 従来、CDがポリマーを認識する速度(ポリロタキサン形成速度)は非常に速く、評価する事が出来なかった。ヒドロ桂皮酸修飾-β-CDを利用して、ヒドロ桂皮酸にPolyethylene glycol (PEG)を修飾した[1]ロタキサン(自己包接錯体)を用いてPEGの分子量と自己包接錯体形成の速度の関係を調べ、ロタキサン形成速度を見積もることに成功した。競争ゲストであるアダマンタン誘導体を0.5当量添加すると、PEG鎖がシクロデキストリンの環を出入りする様子をNMRで観測することができた。交換速度はNMRのタイムスケールと同程度であるが、ポリマー鎖が長くなる程、交換速度は遅くなることがわかった。

 さらにシクロデキストリンの誘導体のポリマー鎖の末端にアゾベンゼン基を結合させ、その熱、及び光により、[1]ロタキサンの構造制御を試みた。低温ではシクロデキストリン環に結合した桂皮酸部分がシクロデキストリンに取り込まれるが、室温付近では主にアゾベンゼン部分が取り込まれることが明らかと成った。高温ではポリマー鎖はシクロデキストリン環から離れることがわかった。この分子に光照射すると、アゾベンゼン部分がトランス体からシス体に異性化するが、シス体の場合は桂皮酸部分より強く取り込まれ、分子内で大環状構造を形成することを見いだした。

Polyethylene glycolとヒドロ桂皮酸を有する-CDの[1]ロタキサン形成(a)と[1]ロタキサンの光構造制御(b)
Polyethylene glycolとヒドロ桂皮酸を有するβ-CDの[1]ロタキサン形成(a)と[1]ロタキサンの光構造制御(b)

Inoue, Y.; Miyauchi, M.; Nakajima, H.; Takashima, Y.; Yamaguchi, H.; Harada, A.
"Self-Threading of a Poly(ethylene glycol) Chain in a Cyclodextrin-Ring: Control
of the Exchange Dynamics by Chain Length"

J. Am. Chem. Soc. 2006, 128(28), 8994-8995.

Inoue, Y.; Miyauchi, M.; Nakajima, H.; Takashima, Y.; Yamaguchi, H.; Harada, A.
"Self-Threading and Dethreading Dynamics of Poly(ethylene glycol)-Substituted Cyclodextrins
with Different Chain Lengths"

Macromolecules 2007, 40(9), 3256-3262.

Inoue, Y.; Kuad, P.; Okumura, Y.; Takashima, Y.; Yamaguchi, H.; Harada, A.
"Thermal and Photochemical Switching of Conformation of Poly(ethylene glycol)-Substituted Cyclodextrin
with an Azobenzene Group at the Chain End"

J. Am. Chem. Soc. 2007, 129(20), 6396-6397.

 

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