研究テーマ - Research Theme
超分子材料を用いた接着システム

可動性架橋を用いた光刺激応答性の易解体接着材料
近年、高い接着安定性と易解体性を兼ね備える接着剤の開発が求められている。可動性架橋高分子材料にUV照射により酸を発生させる光酸発生剤を混合することで、光刺激により架橋点を切断可能な高分子材料を作製した。EAと酸分解性の結合を有するアセチル化γCDモノマー(TAcγCD)を光酸発生剤であるBis (cyclohexyl sulfonyl) diazomethane (BSCD)存在下で塊状重合することで、光分解性可動性架橋材料(PEA-TAcγCD/BCSD)を得た (図a)。PEA-TAcγCD/BCSDは、可動性架橋の導入により直鎖高分子(PEA)と比べて、高いヤング率とタフネスを示した。また、UV照射により可動性架橋点を切断することでヤング率が大きく減少した (図b)。PEA-TAcγCD/BCSDを同種または異種基板と接着させ、UV照射により接着強度を低下させることに成功した (図c)。可動性架橋の導入に加え、光刺激での切断により、高い接着安定性と易解体性を両立した


Matsumura, Y.; Yamaoka, K.; Ikura, R.; Takashima, Y.,
Light Stimuli-Responsive Degradable and Tough Polymeric Materials with Movable Crosslinks
ACS Applied Materials & Interfaces 2025
強靭性とリサイクルを両立した可動性架橋型粘着シート
感圧性粘着剤(PSA)は適切な架橋導入により設計される。しかし、架橋エラストマーは溶解性が著しく低いため、回収・リサイクルが困難であった。架橋部位を独自の可動性架橋に置き換えることで、マイクロゲルを形成して溶剤に溶解する可動架橋型PSAが得られた。この新規PSAは機械特性と優れた粘着特性を溶解と乾燥により繰り返し発現する。新規でリサイクル可能なPSAとして、詳細な機構の解析と、さらなる性能向上を研究する。
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Kosaba, S.; Ikura, R.; Yamaoka, K.; Arai, T.; Takashima, Y.,
Recyclable Tough Adhesive Sheets with Movable Cross-links for Sustainable Use
ACS Applied Materials & Interfaces 2024, 16 (19), 25393-25403.
異種材料間における安定した接着を実現するためには、高い接着強度に加えて、優れた靭性を兼ね備える接着システムが求められる。本研究では、単一可動型クロスネットワーク(SC)材料(SC(DMAAm) Adh)を用いた新しい接着システムを設計した。主鎖の可動性は含水率によって調整され、最適な状態が決定される。その結果、SC(DMAAm) Adh は適切な含水状態において優れた凝集特性を示すことが明らかとなった。

Qian, Y.; Ikura, R.; Kawai, Y.; PARK, J.; Yamaoka, K.; Takashima, Y.,
Improvement in Cohesive Properties of Adhesion Systems using Movable Crosslinked Materials with Stress Relaxation Properties
ACS Applied Materials & Interfaces 2024, 16 (3), 3935-3943.