大阪大学

大学院理学研究科
高分子科学専攻 高分子材料設計学

研究テーマ - Research Theme

酵素反応を用いた再重合と分解

生体触媒を利用した資源循環可能なポリマー材料

生分解性ポリマーに特異な分子設計・材料設計を施し、従来の8倍もの材料の強靭性(安定性と長寿命化)を実現しました。また、得られた生分解性ポリマーにおいては、生体触媒であるリパーゼを用いた酵素触媒分解、20倍の分解速度向上、ポリマー材料の再構築を実現し、当材料を循環させることに成功した。分解後の低分子量体が互いに結合していく再重合によるリサイクルが可能なだけでなく、別種のポリエステルや無機ポリマーを分子レベルで組み込む共重合によるアップサイクルを実現しました

生体触媒であるリパーゼを用いたポリマー材料の資源循環

Liu, J.; Ikura, R.; Yamaoka, K.; Sugawara, A.; Takahashi, Yuya.; Kure, B.; Takenaka, N.; Park, Junsu.; Uyama, H.; Takashima, Y., Chem 2025, 11, 102327.

環状分子添加による酵素反応分解の制御

環境低負荷な生分解性高分子の分解性の制御は高分子の資源循環において重要である。Poly(ε-caprolactone-co-urethan) (PCL-PU,図a)にCyclic phenylene sulfide(c[n]PS,図b)を添加することでBuffer中の酵素反応分解性を制御した。c[n]PSの空孔にPCL-PUが貫通した擬ロタキサン構造 (図c)を作製することで分解速度が低下した (図d)。添加したc[n]PS間のπ-π相互作用によって酵素によるPCLのエステル結合の分解が抑制された (図e)。環状分子の添加量と超分子構造の形成によって生分解性高分子の分解速度を制御することに成功した

(a) PCL-PUと(b) c[n]PSの化学構造.(c) 擬ロタキサン構造と(d) 酵素反応分解実験の模式図.(e) PCL-PUの分解性に及ぼすc[n]PSの影響

Ding, Y.; Ikura, R.; Yamaoka, K.; Nishida, K.; Sugawara, A.; Uyama, H.; Nara, S.; Takashima, Y., ACS Macro Letters 2024, 13, 1265-1271.

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