高度な科学技術の発展は日常生活を豊かにしてきたが、市民からみてその基礎原理の直感的な理解が困難になりつつあるため、「理科離れ」を起こしている。この現象は次代の高分子科学の研究を担う中高生にも起こっており、日本の科学技術を支える上で由々しき問題である。
そこで、高分子科学専攻では化学専攻と協力して、地域住民や中高生が高分子科学に興味をもつように積極的に各種の活動を行っている。毎年春の創立記念いちょう祭に「理学研究科研究室解放」として、研究室や施設の見学会を開催している。小中高生の夏休みに日本化学会と共に「化学の森」、「化学のおもしろさ」などのテーマで大阪市内の百貨店のフロアを借りて化学の実験を行い、展示を行ってきた。 また、平成4年から「化学への招待」として、平成11年は夏に、平成12年度には11月初旬の大学祭に、日本化学会と共催で「夢化学」として、主に高校生を対象に公開体験化学実験を行っている。
また大阪近辺の理系志望高校生のために、平成10、11、12年と、年に一回、理学研究科講義室で「理学セミナー」として高分子科学の基礎である「生体高分子と合成高分子」の講義を行っている。さらに、年一回、各高校へ講師派遣を行い、高校の化学授業の一環(1単位)として高分子科学専攻の最先端トピックスである「高分子の構造と物性をミクロに眺める」、「高分子の物理的性質と分子運動」、「超分子の化学」などの講義を行っている。
平成10、11年には公開シンポジウム「大学と科学」(文部省主催)で、一般市民に大学と科学の役割の紹介と啓蒙のための活動を行ってきた。