体験実験

2019年8月10日(土) 午後: 13:00~17:00
以下の 1 から10 までの10テーマから、1人につき分野(A, B, C)の異なる2テーマを選択してもらい実験をおこないます。

体験実験のテーマと概要

A. 化学反応

1. “リピート再生”する反応? 化学振動に挑戦

担当:谷 洋介 先生 (化学専攻 物性有機化学研究室)

教科書に載っている化学反応は、どれも原料から生成物へ一方向へ進むものばかり。でも、心臓の拍動や呼吸など、わたしたちのからだでは周期的な動きがいくつも起きています。しかも、これらはいろいろな化学反応でなりたっているのです。どうやって一方向にしか進まない化学反応で、周期的な動きをつくりだしているのでしょうか?今回の実験では、この疑問のヒントを探して、リピート再生するように周期的に色を変える「化学振動反応」に挑戦しましょう。

2. 夜の顔は別の顔 - 紫外線で光る錯体

担当: 吉成 信人 先生 (化学専攻 錯体化学研究室)

暗いお化け屋敷の中に突如現れる「青白い」幽霊の姿。でも、明るい場所で見ると「白」装束のはずなのに、なぜ「青く」見えるのでしょう?これは、紫外線を充てることによって、白装束に付着している物質を「青く光らせている」からなのです。このように紫外線を当てると光る化合物は、時計の文字盤などに使われる蛍光塗料の原点といえるものです。この実験では、錯体と呼ばれる金属化合物を実際に合成し、暗い場所で紫外線をあてて光らせてみましょう。どんな顔(色)を見せてくれるでしょうか?

3. 人工イクラを作ってみよう!

担当:香門 悠里 先生 (高分子科学専攻 高分子精密化学研究室)

イクラは鮭の卵ですが、「イクラ味」と書かれている食品加工製品の中には「人工イクラ」が利用されているのを知っていますか?この実験では、アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムの2つの水溶液を使って、実際に人工イクラを作製します。人工イクラの構造と作製方法について、化学の役割と共に探求しましょう!

B. 物理化学

4. 磁石にひっつく液体

担当:諏訪 雅頼 先生 (化学専攻 分析化学研究室)

磁石にひっつくのは、鉄のような金属の固体だけだと思っていませんか?実は、自然界のすべての物質は、液体でも気体でも多かれ少なかれ磁石に反応します。この体験実験では、磁石によく引き付けられる液体を実際に作り、固体との違いを観察してみましょう。

5. X線で分子を見る

担当:川口 辰也 先生 (高分子科学専攻 高分子構造化学研究室)

X線を使って分子の立体構造を見る方法は、小さなものを顕微鏡で拡大してみる方法と全く異なった原理である回折法を使っています。なぜX線回折法で分子の姿を見ることができるのかを理解するために、このテーマではX線回折法の原理についての解説と、実際にどのような回折像が得られるかをコンピューター上とレーザー光を用いて実験します。

6. 熱や温度で変わる物質の世界

担当:宮崎 裕司 先生 (熱・エントロピー科学研究センター)

やかんに入れた水を熱すると、100℃で沸騰して水蒸気になったり、二酸化炭素が-78.5℃で白色個体のドライアイスになるように、物質を熱したり、冷やしたりして温度を変化させると、その状態や性質が変化します。今回の実験では、普段手にすることのできる物質・できない物質を熱したり、冷やしたりして、興味深い物質の変化を観察してみましょう。

7. 分子が持つ色・分子が出す光 - CDを使って光を分ける

担当:山田 剛司 先生 (化学専攻 表面化学研究室)

太陽の光(自然光)はいろいろな色の光が混ざっていて、自然の力でそれらをバラバラに分けてくれるのが大空に浮かぶ虹です。音楽やソフトウェアの入っているコンパクトディスク(Compact Disc: CD)を使って、ちょっとした工作をすれば、いろいろな色の光を分けることができるCD分光器をつくることができます。このCD分光器を自作して、分子が持つ色や、分子が出す光の仕組みを調べてみましょう。

8. 磁場で温度を感じてみよう!

担当:山下 智史 先生 (化学専攻 物性物理化学研究室)

熱い、冷たいなどの温度は肌でも感じることが出来ますが、水が0℃以下や沸騰する100℃以上の温度は実感することが難しくなります。-196℃の低温が得られる液体窒素と磁力(磁石)・金属・超伝導体を使って温度変化を実感してみましょう。

C. 生物化学

9. “眠気を覚ます”成分を単離する~コーヒーからのカフェイン抽出

担当:真鍋 良幸 先生 (化学専攻 天然物有機化学研究室)

自然界にある動物や植物の成分、あるいは日常生活で食べたり飲んだりして接種しているもの中には様々な成分が含まれています。この実験では、眠気覚ましの作用があることで知られているカフェインをコーヒーから純粋な形で分離して、その性質を見てみます。

10. 香りのあるエステルの合成

担当:梅川 雄一 先生 (化学専攻 生体分子化学研究室)

私たちは日々の生活においてさまざまな香りを感じています。これは私たちの鼻の粘膜に存在するタンパク質に分子が結合し、その後信号が脳へと伝達されることで初めて認識することができます。また私たちは分子のちょっとした形の違いも敏感に感知し、全く異なる匂いとして識別しています。今回、「エステル化」という簡単な化学実験により、元々の分子の匂いがどのように変化するかを体験してもらいます。それぞれ何の匂いがするか、当ててみてください。