導電性高分子薄膜の分子イメージング

近年、フレキシブルデバイスの実用化に向けた研究が盛んに行われています。その基幹材料として、導電性高分子薄膜が有望視されています。今後は、個々の導電性高分子の性質を理解し、高秩序薄膜を得るための精巧な技術を確立す必要があります私の研究では、走査トンネル顕微鏡法により導電性高分子薄膜を分子レベルで画像化し、その物理的・化学的振る舞いを調査しています。

1. 固体表面に吸着した導電性高分子

a. グラファイト表面上での導電性高分子P3HTの動きを観察しています。

緩和

溶液を滴下した直後では、P3HTは芋虫構造を形成しています。時間の経過とともに、伸張して平行に並ぶ様子がとらえれています。

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D. Takajo, H. Katsuno, K. Sudoh; ACS Macro Lett. 12, 2, 274–280 (2023).https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsmacrolett.2c00725

熱平衡時の揺らぎ

その結果、秩序ドメインからなる多結晶構造を形成することがわかりますまた、熱平衡に達した後も多結晶構造が大きく揺らぐことがわかります。

塗り分けまとめ2newnew.pdf

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高分解能連続.tif
D. Takajo, H. Katsuno, K. Sudoh; ACS Macro Lett. 12, 2, 274–280 (2023).https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsmacrolett.2c00725

シミュレーション

モンテカルロシミュレーションにより、溶液からの緩和や熱平衡時の揺らぎを再現しています。

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D. Takajo, H. Katsuno, K. Sudoh; ACS Macro Lett. 12, 2, 274–280 (2023).https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsmacrolett.2c00725

b. グラファイト表面と導電性高分子P3HTの格子点の重なりにより生じるモアレパターンを解析しています。

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c. グラファイト表面上で起こるジアセチレンの重合反応について研究しています。

ジアセチレン単量体

研究内容2.jpg

D. Takajo, A. Inaba, K. Sudoh; Suf. Sci. 620, 38 (2014). https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0039602813003099

光誘起重合反応

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D. Takajo, A. Inaba, K. Sudoh; Langmuir, 30 (10), 2738–2744 (2014). https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/la4049314
D. Takajo, K. Sudoh; Langmuir, 35 (6), 2123–2128 (2019). https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.langmuir.8b03737

加熱

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D. Takajo, K. Sudoh; Appl. Sci. 8, 503 (2018). http://www.mdpi.com/2076-3417/8/4/503

2. 水面上に吸着した有機分子凝集体

工事中

ゴム弾性

最近は、ゴム弾性に興味があります。ゴムの変形に伴う内部エネルギーの増加と分子振動エントロピーの増加を同時に測定しています。
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Matsuo, Suzuki, Takajo, Nippon Gomu Kyokaishi, 95, 212-218, (2022).J. Soc. Rub. Sci. Tech, Jpn. 95, 212-218 (2022).