第9回レーンビッツセミナー

2006年5月28日から6月1日にかけて,ドイツ北東部のヴァルネミュンデ(Warnemünde)で第9回レーンビッツセミナー(the 9th Lähnwitzseminar on Calorimetry)が開催されました. 当センターからは稲葉教授と鈴木がポスター発表で参加しました.以下にその様子を報告します.

このセミナーは,2005年には当センターに外国人客員教授としても滞在されたロストック(Rostock)大学のChristoph Schick教授の主催で,隔年にロストック近郊で行われているものです. 毎回テーマが設定され,そのテーマに沿って発表・討議が行われます. 今回のテーマは,“Transitions Far from Equilibrium – Super-Heating; Super-Cooling”でした. 全部で13の招待講演がありましたが,高分子関係の講演が比較的多かった印象があります. 講演は1件当たり1時間45分の持ち時間があり,後半の30分程度は質疑応答に割かれていました. この後半に設けられた長い質疑応答の時間がレーンビッツセミナーの大きな特徴であるともいえます. 実際,参加者もそれを待っていたかのようで,この時間帯に質問が途絶えることはありませんでした. 残念ながら,私は勉強不足のため講演の多くの部分が理解できず歯がゆい思いをしました. それでも,各講演の間に設けられた30分間の休憩中に周りの先生方から講演内容についていろいろ教えていただき大変勉強になりました. ポスター発表では,私は,液晶の熱測定の結果を発表しました. あまり突っ込んだ内容の質問が無かったのが心残りです.

今回セミナーが開かれたヴァイネミュンデは,ハンザ同盟都市ロストックの近郊にあるバルト海に面した小さな街でリゾート地でもあります. セミナーはその中心街にある小さなホテルで行われました. 参加者全員がそのホテルに宿泊しているため,自分の部屋以外はどこに行っても参加者と顔を合わせました. 特に食事どきは同じテーブルを囲むことになり,サイエンスの話で大いに盛り上がりました. そこでも多くのことを学びました.

全体を通して一番印象深かったのは,これだけの立派なセミナーを一研究室で,しかも隔年で組織することができるというShick教授のスケールの大きさでした. 今回の参加者は,過去最高の60名(17カ国)でした. Shick教授にこれからもこのセミナーがどんどん大きくなっていってほしいと伝えたところ,これ以上人数は増やしたくはないという答えが返ってきました. セミナーの大きさよりも質の高さを重視するShick教授の意識の高さを改めて感じさせられました. Shick教授は,「最初は講演を依頼しても承諾してもらうのが大変だったが,今は依頼した人全員がOKを出すようになった.」と笑っておられましたが,それも講演を依頼された人が皆,このセミナーの質の高さを理解しているからに他ならないと思います. このような質の高いセミナーへ参加できたことは,大変貴重な経験になりました.

(鈴木 晴)

Picture of Laehwitzseminar Discussion lasted for a long time.

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