グローバルCOE「生命環境化学
グローバル教育研究拠点」国際会議

グローバルCOEの事業推進メンバーの一人として,「第1回グローバルCOE生命環境化学国際会議(2008年1月27〜29日)」および「分子情報化学分科ワークショップ(2008年11月10〜12日)」に参画したので簡単に報告しておきたい. 正式な報告は,それぞれ本GCOEの News Letter Vol. 2 および Vol. 5 にある.

「第1回グローバルCOE生命環境化学国際会議 (The 1st International Global COE Symposium on Bio-Environmental Chemistry, GCOEBEC-1) 」は,ホテル阪急エキスポパークにて行われた. 合計230名(GCOEフェロー83名,招待講演者8名,教員76名,海外招聘を含むその他学生63名)が参加する全体会議であった. 拠点リーダーである工学研究科の福住俊一教授の基調講演に始まり,フェローの成果発表と6件の招待講演があった. 筆者は,招待講演者の一人 Dr. Robert K. Thomas, FRS (University of Oxford, UK) の世話係をした. 彼とは1984年からの旧知の間柄で,これまでの共同研究が最も多い一人でもある. 講演タイトルは「Biosurfactants: What Do They Do, How Can We Use Them, and How Do They Function?」であり,いつもながら聴衆を引きつける魅力的な話であった.

「分子情報化学分科ワークショップ (The International Workshop on Molecular Information and Dynamics 2008) 」は,本GCOEを構成する5分科のうちの一つ「分子情報化学」で企画した国際会議であり,筆者が世話役であった. 会場は国立台湾科技大学であり,その世話人は Prof. Der-Jang Liaw であった. 参加者は日本側からGCOEフェロー21名,この分科の推進メンバー教授8名,台湾側から教授6名と学生20名の合計55名であった. そもそも本GCOEで分科国際会議が初めてであったが,全体会議と違って参加人数の規模が「フェローがリラックスして議論できるサイズ」であることから,国内のリゾート地と呼ばれる国内の候補地が考えられた. しかし,交通費や滞在費がさほど安いわけでなく,一方で,国際的な雰囲気をフェローに味合わせるには近くても国外で開催という方針が打ち出されたのである. 今回は原田明教授(理)の紹介で開催地が決定した.

台湾側からの招待講演者として,Prof. Jui-Hsiang Liu (National Cheng Kung Univ.), Prof. Kuang-Lieh Lu (Institute of Chemistry, Academia Sinica), Prof. Yian Tai (National Taiwan Univ. of Science and Technology), Prof. Wen-Sheng Chung (National Chiao Tung Univ.), Prof. C. Bor Fuh (National Chi Nan Univ.) にお願いし,日本側からは井上佳久教授(工),渡會仁教授(理),笠井俊夫教授(理)の合計8件の講演が3日間にわたって行われた. メインイベントであるフェローによる口頭発表と,台湾側の学生を加えたポスター発表は2日目に集中して行われた. 参加したフェローには海外が初経験という人が2名いたが,全員が何一つ臆することなく堂々として研究成果を発表していたように思う. 英語によるコミュニケーションという点では,得意な人から苦手な人まで様々であるが,これは道具であるから慣れるしかない. しかし,非英語圏でしかも漢字圏の台湾という環境は思いの外,フェローをリラックスさせたのかもしれない. 帰国後,台湾の側からも大変有意義であったという丁寧なメールを何通かいただいた. 双方にとって有益であったとしたら,これも一つの大きな成果ではないだろうか. このワークショップに参加したフェローは確実に,またひとつ成長したに違いない.

(稲葉 章)

Picture 1 分子情報化学分科ワークショップ参加者

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