CALCON2013 に参加して

8月18日から8月22日にかけてアメリカ,ニュージャージー州,アトランティックシティーのホテルRevelにてThe 68th Calorimetry Conference 2013(CALCON2013) が開催されました.CALCONは北米を中心として熱測定を主として研究を行う研究者が集まって行われる国際会議であり,研究テーマは固体から生体分子まで多岐にわたります.会議の期間中には「Biothermodynamics」,「Condensed Matter and Solid State Studies」,「Biopharmaceutical and Pharmaceutical Applications」,「Aqueous Solutions,Fluid Mixtures,and Polymer」,「Databases, Global Analysis, Modeling, and Simulation 」,「Specialized Applications of Calorimetry and Thermal Analysis」の6つのセッションが開かれ,午前中にplenary lecture及び各受賞講演があり,午後から一般の発表が行われるという流れでした.今回の会議では特にBiothermodynamicsとAqueous solutionのセッションでの研究発表が多く,それぞれが様々な観点,手法で研究を行っており興味深い発表がいくつもありました.一方で,私の専門であるCondensed Matter and Solid State Studiesのセッションでは低温での熱測定についてGreg R. Stewart教授のplenary lectureがあったものの前回参加した66回会議に比べて発表者が少なかったのが残念でした.

福岡にとっては2011年にハワイのタートルベイリゾートで行われた第66回会議に続き2回目の参加になります. 第66回会議では日本の熱測定学会との共同開催であったこともあり,日本からの参加者も数多く見受けられましたが,今回の会議では福岡を含めて日本からの参加者は4人でした. 参加者があまり多くないこともあり,私のような大学院の学生にも比較的長い時間の口頭発表の機会を与えて頂きました. 阪大からは,大学院生の福岡とD1の吉元君が参加し,それぞれ質疑の時間も含めて30分の発表時間を与えられました. そのなかで福岡は,「Thermodynamic study of π-d interacting molecular compounds under precisely controlled magnetic field」というタイトルで,吉元君は「Thermodynamic investigation on magnetic property of “bi-layer” magnets」というタイトルで発表を行いました. 固体を専門とする参加者が少なかったこともあり,発表を聞きに来てくださった参加者の方は少なかったですが,専門の異なる参加者からの質問にはこれまで自分が考えていなかった部分を指摘するものがあり,今後の研究を行っていく上での重要な意見を得ることができたと考えています. また、光栄なことに福岡はこの会議で口頭発表を行った学生に与えられるWilliam F. Giauque Memorial Awardをいただくことができました。 今回の会議では、5人の学生がこの賞に選ばれ、日本からは福岡のほかに、東京工業大学の気谷卓さんが選ばれました。自分がこれまで行ってきた研究について評価していただけたことはとてもうれしい事で、今後研究を続けていく上で非常に励みとなりました。

アトランティックシティーでのCALCONの開催は1947年に第2回Low Temperature Calorimetry Conferenceとしてアメリカ化学会と同時開催されて以来だそうで,今回の会議にはこれまでのCALCONの歴史を振り返るという趣旨もあったようです. 会議の最後のConference banquetではprogram chairであるDavid P. Remeta教授からCALCONのこれまでの歴史,研究の流れについて当時の写真の紹介も交えながらの説明が行われ、熱測定の重要性を改めて感じることができました. 次回のThe 69th Calorimetry Conferenceはニューメキシコ州のサンタフェで行われる予定です.

(福岡脩平)

The view from the hotel Revel
The view from the hotel Revel.

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