放射線生物化学研究室

研究テーマ

1. 核医学利用のためのアミノ酸誘導体の合成及び同位体標識法の検討

我々はがん細胞誘導型のアミノ酸輸送体を分子標的として、核医学治療薬の開発を進めています。具体的には、特定の輸送体に認識されるアミノ酸誘導体を合成し、それに殺細胞性の高い放射線同位体を標識することにより、核医学治療薬としての応用を目指します。

2. 短寿命放射線同位体を用いた核医学治療薬の品質の検討

核学治療薬が開発されても、その品質が安定である必要があります。標識物の安定性を確認し、産業導出可能なレベルにまで落とし込むことが目標です。

3. 放射線同位体の摂取による生物影響の評価

「放射線」と一言で言っても、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、中性子線、電磁波など、さまざまなものがあります。我々は特に医療現場または自然環境で被曝する放射線同位体による影響の評価を行っています。

4. がん細胞型アミノ酸トランスポーターの機能解析

がん細胞型アミノ酸トランスポーターと言われるLAT1ですが、その発現制御メカニズムには不明な点が多く残されています。なぜがん組織においてLAT1が過剰発現するようになるのか。我々は網羅的解析手法を用いて、その本態の解明を目指しています。

5. その他

その他、学内外の共同研究者と共に、様々な検討を行っています。

研究概要

分野横断的研究の推進

本研究室は核医学治療薬としての応用を目指して、低分子(ナトリウム塩)、中分子(アミノ酸誘導体、輸送体阻害薬)、高分子(抗体他)に対して、短寿命放射線核種の標識を行い、その機能評価を行なっています
化学専攻内の研究室との共同研究のみならず、医学系研究科、工学研究科、放射線科学基盤機構、核物理研究センターと連携し、核種の製造・分離から、化合物の合成・標識、そして生物を用いた評価(細胞・実験動物)に関わっています。

これに加えて、核医学治療薬の分子標的の一つであるがん細胞特異的に発現誘導されるアミノ酸トランスポーターであるLAT1の機能解析を行い、がんにおける本分子の発現意義の解明やより良い治療薬の開発に生かす試みを続けています。

分野横断的な実験技術を学び、自らの適性を知る

本研究室は学生の出身学部は問いません。
様々な実験手法を学び、身につけ、そして自らの適性を知りましょう。

研究とは「研(みが)き、究(きわ)める」ことです。言われた通りにするだけではなく、自ら考え、目的意識を持って計画を立て、実現するための努力を怠らないようにしましょう。