本センター准教授(兼任)の竹谷純一氏が,2007年度の日本応用物理学会の論文賞を受賞しました. 竹谷氏は,有機半導体の薄片単結晶を,Si基板上に絶縁層を介した状態で貼り付け,有機半導体電界効果素子をつくり,バイアス印加によって界面に誘起された電子の輸送・熱特性を研究しています. 受賞対象になった論文は,“Hall Effect of Quasi-Hole Gas in Organic Single-Crystal Transistors”, Jpn. J. Appl. Phys. 44, L1393–L1396 (2005) であり,このような有機単結晶素子で初めてホール効果の測定に成功したことを報告した論文です. このような微小な素子でのホール効果測定の成功によって,界面にバイアス印加によって誘起されたキャリアの量を正確に評価することが可能になりました. 実験は,ノイズに埋もれるような小さい信号の中からホール電圧に関する信号を取り出す非常に難しいものですが,この測定の成功によって有機結晶の中でも輸送特性に関与する電子はバンド的になっていることが確認されたと言うことができます. 現在,飛躍的に発展している分野ですが,後世に残る重要な仕事として評価されることと思います. 今後のさらなる展開を期待したいと思います. 写真は,本年秋に札幌で行われた授与式の模様です.
Copyright © Research Center for Structural Thermodynamics, Graduate School of Science, Osaka University. All rights reserved.