ミュンヘン工科大学の修士課程で化学工学を専攻する Konrad Schindler 君は,大阪大学の交換留学生プログラム「FrontierLab@OsakaU」を利用して当センターへの短期留学を希望し,JASSO(日本学生支援機構)奨学生として採用された結果,2010年度後期(カリキュラムとしては15週)を過ごすこととなった.大阪大学が用意した7分野の部局横断型国際教育プログラムから,「Nanotechnology & Molecular Science」を選択したのであった.ミュンヘン工科大学といえばドイツの名門大学であるが,帰国後,ある化学会社で現在は修士論文を執筆中とのことである.ドイツのシステムがよく理解できないが,留学やインターンシップで専門外の見聞を広めるのはよいが,本来の大学で一体何をしているのか不思議に思える.
アメリカでの居住経験をもつ彼は英語が堪能で,しかも大学の日本語コースで2年間学んだこともあり,ある程度の日本語が理解できた.そこで,研究室セミナーの参加を含め,研究活動を中心とする国際交流科目を選択したのであった.テーマは,分子磁性体の磁気的,熱的性質をいろいろな温度・磁場下で実験的に調べるもので,2月7日に行われた最終の研究発表会では,「Calorimetric and Magnetic Studies at the Mixed-Metal Complex P(C6H5)4[MnIIFeIII(C2O4)3]」というタイトルで15分間のプレゼンテーションを行った.
滞在中,研究以外で彼が予想しなかった経験は,大学での一斉健康診断に始まった.その後の様々な検査で病院通いに明け暮れることもあった.かなり憂鬱な思いをしたであろう.ドイツの大学では一斉健康診断はないとのことで,その点では幸運だったのかもしれない.いまは健康に全く問題なく,就職に胸をふくらませていることだろう.
Konrad Schindler君
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