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多価メルカプタン類をもつ金属錯体の開発と物性開拓

2つ以上のチオール基をもつ有機物(多価メルカプタン類)は、2つの硫黄部位で金属イオンにキレート配位することができることから、安定性に優れた金属錯体が得られることが期待されます。

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最近、2つのチオール基と1つのヒドロキシ基をもつ二価メルカプタン(G-2S(A))をジホスフィンをもつ金二核錯体と反応させることにより、二価メルカプタンとジホスフィンが結合した環状金二核錯体が得られることを見出しました。この金錯体は、用いるジホスフィンの架橋炭素数を多くするほど、環状構造が大きくねじれる挙動を示し、それに伴い発光色も大きく変化することが確認されました。現在、この発光色の変化は金イオン間の相互作用の変化に由来すると予想しており、分子のねじれを利用した新しいクロミック材料の設計につながると考えています。


本研究は、令和5年度大阪市イノベーション創出補助金ならびに旭化学工業株式会社の支援を受けて実施しました。

研究成果が報道されました。「多価メルカプタン 金属錯体の配位子に応用」(2023年11月30日、化学工業日報)記事はこちら(日本語)