山下智史君が第2回分子科学討論会において
優秀ポスター賞を受賞

物性物理化学研究室の山下智史君(博士後期課程2年)が,2008年9月24日 (水) – 27日 (土) に福岡国際会議場で行われた第2回分子科学討論会の優秀ポスター賞を受賞しました. 分子科学討論会は,2年前までは分子構造総合討論会という名前で行われていた分子科学関係の非常に大きな国内討論会ですが,分子科学会の設立とともに名前を変えて本年が第2回目の開催になります. 参加者は千人を優に越え,ポスター発表だけでも全部で564件あり,4日間にわたり活発な議論がなされました. 本年は15件程度の優れたポスターが優秀ポスター賞として選出されました. 山下君の発表は「二次元三角格子構造をもつ電荷移動塩のスピン液体の熱的研究」というタイトルであり,分子性Mott絶縁体の三角格子上にあるスピンが,互いに非常に強い相互作用をしながらも幾何学的なフラストレーションのため秩序化できずスピン液体状態を形成していることを,熱力学的な実験で明確に示し,相互作用の大きさや正三角格子からのずれによっておこる変化を物質の構造面から検討したものになります. 100分間の発表時間を通して(実はそれ以前の休み時間を含むと,さらに30 – 40分間),人が断えることなく注目を集めていました. 分子集合体の多体状態に関する情報を知ることができる熱的な測定が,ミクロな視点にかたよりがちな分子科学の中でも非常に重要であることを示した有意義な発表だったと思います. 結果は,学会から1月後の10月24日に,分子科学会速報とホームページで発表されました. 山下君の今後の益々の活躍と,熱測定を行う後進の皆様が後に続いてくれることに期待したいと思います.

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