ICCT2012会議報告

第22回のICCTが 2012年8月5日から10日の日程で,ブラジル,リオデジャネイロ州のブジオスで開催されました.日本から見れば地球の裏側,真冬のブラジルでの開催でした. 計画停電が取りざたされる猛暑の大阪から24時間,飛行機を乗り継いで,参加してきました. 前回の2010年のICCTは筑波において,天皇皇后両陛下のご臨席を賜り盛大に行われました. 本センターからも稲葉先生がプログラム委員長を務め,学生の皆さんが会場アルバイトをするなど開催に大きく貢献しました. この時の実行委員長で,阪大の熱グループのOBでもある故阿竹徹先生の追悼シンポジウムも今回のICCT2012では企画されました. 会議冒頭のオープニングセレモニーでもIACT会長のA. Goodwin先生からも阿竹先生のご冥福を祈る旨の挨拶がありました. 今年のICCTは,UNICAMP, BrazilのWatoson Loh先生が代表をつとめ,南半球で,初めての開催であります. また第67回のCalorimetry Conferenceとのジョイント開催のかたちになり,こちらも北米を離れ初めて南半球で初の開催ということでした.

 会議は,毎朝,異なったテーマで行われるplenaryレクチャーの後,Biothermodynamics, Ion liquid, Thermodynamics of Materials, Energetics and Database, Phase equilibria, Energy, Modeling and Simulations, Thermal Studies of Phase Transitions, Pharmaceuticals, Drug Developmentのセッションにわかれて5日間,活発な議論がなされました. 故阿竹先生の追悼シンポジウムは9日の午後に開催されました.IACT,CalConのボードメンバーであり,また先生の友人でもあるフランスのBailes Pasacal大学のJ.-P. E. Grollier先生が中心になり, “New Development of Thermal Analysis and Calorimetry including High Temperature and Pressure” というテーマのもと手法開発に焦点をあてた講演者が選ばれました. 私は日本側からのCo-chairのかたちでセッション開催のお手伝いをしました. 阿竹先生と交流のあった世界の研究者が集まり,高圧,高温など難しい条件下での開発も含めた,様々な熱測定手法の開発,装置開発に関する報告が行われ活発な議論がなされました.

 ブジオスの町は,大都市リオデジャネイロから東方に190 km 離れた大西洋につきでた小さい半島にあります. 都市部と違って,治安も問題になることはなく,夜の24:00を過ぎても人通りがあるようなのんびりした観光地でした. ICCTでは,基礎から応用まで,様々な分野で熱をキーワードにした研究発表がなされています. ブラジルでの開催ということで,筑波ほどの人数はおられませんでしたが,世界中から参加者があり皆,分野は異なれ熱を用いて新しいことをやろうという活力を感じる会議です. 異なる分野の話題にも多数触れることができ,あらためて凝集系の物理化学の研究における熱測定の意義を強く感じてきました.

(中澤康浩)

Picture 4 A photopicture of all participants of ICCT2012 (Front gate of Hotel Atlantico).

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