KITP Conference 2012 Exotic Phases in Frustrated Magnetsに参加して

 10月8日から5日間,アメリカ合衆国・カルフォルニア州サンタバーバラにて,KITP Conference 2012の一環として,Exotic Phases in Frustrated Magnetsという国際会議が開催されました. KITP conferenceは,カルフォルニア大学サンタバーバラ校にあるKalvi Institute for Theoritical Physicsが開催している国際会議で, 1週間程度の集中的な会議や比較的1日あたりの講演件数が少ない会議などが3カ月程度に渡って開催されるWorkshopの一環です. 今回参加した,Exotic Phases on Frustrated Magnetsでは,磁気フラストレーション系を専門とした理論計算系と物性測定系の研究者が中心となって議論が行われました.

物性物理化学研究室からは,山下智史助教が,Organic Spin liquidというセッション「Fermi Liquid Characters of Organic Spin Liquid in X[Pd(dmit)2]2 System」というタイトルで招待講演を行いました. 山下助教は,絶縁体である量子スピン液体物質がフェルミ液体(金属)的な特徴を持つ可能性を,系統的な低温熱容量の絶対値測定の観点から示しました. この会議では,理論計算分野よりスピン液体の持つ様々な可能性が示され,その検証対象としての物性が議論されています. Organic Spin Liquidというカテゴリーは,分子性固体において実現する量子スピン液体という状態が他の系で実現するスピン液体状態とは異なるために,若干独立した扱いを受けています. 特に,フェルミ液体的な性質に関しての注目度は高く,質疑応答の時間以外にも詳細についての議論が多数行われました.

全体的な研究のレベルは非常に高く,このような会議に招待されたことは今後の研究活動においても大きな励みとなりました.また,理論研究と実験研究者が互いに尊重し合いながら議論を行い, その分野全体の研究を推し進めていくということが世界的なレベルでしっかりと行われていることを実感できた会議であったと思います.

(山下智史)

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会場外観

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会議風景

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