今城周作君が2013年度
分子科学討論会、優秀ポスター賞を受賞

物性物理化学研究室の博士前期課程1年の今城周作君が、2013年9月24日(火)−27日(木)に京都で行われた第7回の分子科学討論会で優秀ポスター賞を受賞しました。 今年は、物理学会と分子科学会が日程的に重なってしまったため、教員や博士後期課程の先輩諸氏が不在の中、孤軍奮闘でポスター発表を行い、見事、受賞となりました。 今城君は、今年度から新しくスタートしたリーディング大学院の第1期生であり、学部4年生の3月上旬のテストでこの大学院を受験し、見事パスしました。 修士と博士の一貫コースとして社会のリーダーとなる人材育成を目指したプログラムであるため、予想以上に生活は大変で、修士1年になってからは沢山の講義と演習、また研究面でも研究室ローテーションの制度で2-3カ月間固体物理分野の研究室に武者修行に行っていました。 今城君の場合は基礎工学研究科の北岡研究室でNMRを勉強していました。そのようなこともあり、なかなか自分自身の研究の時間がとれない状況でしたが、短くても時間を見つけては、4年生から続けているテーマである有機超伝導体の磁場方向を精密に制御した熱測定を行うため、試料の合成と装置の開発を進めてきました。 今城君の発表タイトルは「自作熱量計によるκ型有機超伝導体の精密角度分解比熱測定」です。層状構造をもつ超伝導体に面内磁場をかけ磁場方向を面内で精度良く方向をかえることで、電子熱容量係数γの角度依存性を検出し、電子の準粒子励起の構造の異方性をみて、超伝導ギャップの対称性を調べる実験です。 すでに10 Kの超伝導体でd波超伝導に由来すると思われる4回対称性をもつ熱容量変化は捉えており、装置の信頼性は確かであると思われます。今後は、合成した他の塩を系統的にとらえ、超伝導のギャップの構造の変化や対形成の強さなどを調べて行く予定でおります。

分子科学討論会のポスターセッションは、100分間の発表時間を通して人通りが途絶えることがなく,深い議論が求められ、非常に鍛えられる場です。 500件を超える発表がありますが、その中で本年は14件が優秀ポスター賞として選出されました。自作の装置でチャレンジングなテーマに挑戦していることと忙しい中でも時間を作って努力してきた点が今回の受賞につながったものと思います。今城君の今後の益々の活躍に期待したいと思います。

(中澤康浩)

Dr. Imashiro
送付された分子科学討論会のポスター賞の表彰状と試料合成室での今城君

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