松尾隆祐名誉教授が
「理学への招待」で特別講義

大阪大学理学部では,毎年,理学部の主に1年生を対象とした「理学への招待」という講義を開講しています.この講義の趣旨は,学会や企業の大先輩をゲストスピーカーとしてお招きし,彼らの豊富な専門知識と深い洞察に基づく講演の後,引き続いて行われる質疑応答等を通して,数学,物理学,化学,生物学など様々な分野からいくつかのトピックについて,理学の一端に触れるというものです.

2012年12月17日に大阪大学豊中キャンパスで行われた「理学への招待」第6回講演会のゲストスピーカーに,大阪大学名誉教授で現在クラーク記念国際高等学校大阪キャンパス校長であられる松尾隆祐先生をお迎えして,「エントロピーの様々な表現」という題目で特別講義を行っていただきました.講義内容は,熱力学の歴史から始まり,熱力学の諸法則,特にエントロピーについて,実験的にみられる様々なエントロピーの定量的な側面,量子力学的な非局在性との関係,エントロピー的な力の最も簡単な例であるゴム弾性と,とても盛りだくさんなものでした.特に最後のゴム弾性では,壇上で実演実験を行われて,200名を超える聴講学生の注目を集めていました.講演の後の質問時間にも,何人かの学生が積極的に質問して,盛況のうちに特別講義が終わりました.松尾先生は,講義の中で,熱力学第2法則の表現方法の一つであるカラテオドリーによる表現についても言及されて,1年生にはかなり難しかったのではと思われたのですが,講義全体が終了した後に,ある学生が松尾先生のところに来てカラテオドリーの表現について質問しているのを見て,講義の難易度についてあれこれ考えたのは杞憂であったなと感じました.

松尾先生は,「理学への招待」での講義が終わってから構造熱科学研究センターにお立ち寄りになり,お茶とお菓子を召し上がりながら,センターの教員・学生と最近の科学のトピック的なお話などをされて,楽しいひと時をお過ごしになられました.

(宮崎裕司)

Prof. Matsuo

Prof. Matsuo
講義風景

Copyright © Research Center for Structural Thermodynamics, Graduate School of Science, Osaka University. All rights reserved.