宝塚北高等学校 サイエンスパートナーシップ(SPP)事業に参加して

2013年8月5日に宝塚北高等学校で行われたJSTのSPP事業のお手伝いに行ってきました。 化学専攻の久保孝史教授と宝塚北高の理科系研究者を目指す学生むけの特別コースであるグローバルサイエンスコースの担当をされている阪山仁教諭が共同で申請し、 採択されたもので、コースの高校生に環境問題を真剣に考えてもらい、将来の材料開発に興味と目的意識をもってもらう企画になっています。 久保先生が、何度も高校を訪れて、事業案をまとめ、また久保研究室で、色素増感太陽電池の作成とその性能評価の実習を7月末にされた後をうけ、 「温度・熱・エネルギー 物質の状態変化と熱力学  –熱をつかって電気をつくる–」というテーマ で講義と実習を行いました。 午前中、90分程度の講義で、熱力学の法則や、ゼーベック効果など熱電変換などの基礎を説明した後、お昼をはさんで、 午後を丸々使って、熱電対やペルチェ素子を用いた実験を行いました。 物性物理化学研究室から、D3の福岡脩平君、D1の吉元 諒君, M1の今城周作君と片岡詩織さんにもTAとして参加してもらい、 グループごとに指導をしてもらいました。

銅線とコンスタンタン線をつないだだけの簡単な熱電対の電圧をはかるだけで温度差が精密に測れるということに感動する高校生もいました。 一方で、コンスタンタン線とは?というレスポンスの学生もおり反応はまちまちでした。液体窒素やドライアイス、氷水やお湯など様々な温度の定点を用意し、熱電対で室温との差を測定してプロットしてみるとそれなりの意味のあるデータがとれゼーベック係数を定量的に比較するところまで解析が進んだ班もありました。 ペルチェ素子の両サイドからドライアイスや液体窒素の冷媒と、水やお湯などの高温熱浴を使って温度差をつけて、電気を取り出し、実際に豆電球が光ると大きな歓声があがりました。

このSPP事業では、体験したことを学生たちがまとめて成果発表を行います。 数日後、学生さんたちが阪大理学部を訪問し、グループごとに環境問題や将来の日本や世界のエネルギー問題について調べたことに関する発表を行ってくれました。 熱電変換や熱起電力の実験について取り上げてくれた班もあり、高校生らしい視点で成果の報告をしてくれました。暑い中でしたが、アレンジして頂いた久保先生と阪山先生はじめ宝塚北高の先生方、TAの皆さんに感謝致します。

(中澤康浩)

thermoelectric effect1

thermoelectric effect2
熱電効果のための実験キッド

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