非天然アミノ酸からなるポリペプチドによる二次構造の制御・構築


 天然の蛋白質はα−ヘリックス,β−シートなどの二次構造をとり,より高次な構造を形成しています。蛋白質の立体構造は反応性とその制御に密接に関係していると考えられます。新たな構造の設計・構築は新規機能開発への足掛かりになると考えられ,近年,様々な二次構造を形成する「foldamer」が報告されています。特に非対称性の導入は酵素のように方向性をもった反応の実現には必要不可欠と考えられます。また,アミド基はその平面性と水素結合能のために二次構造の構築に大きく寄与していると言えます。私たちはこれらを兼ね備えた非天然型アミノ酸に着目し,新規非天然型ペプチドの設計・合成を行っています。
 フェノールのOHはカルボニルのO=COHO=C水素結合を形成します。一方,脱プロトン化したフェノラートはアミドのNHNHO-水素結合を形成します。これを基に分子設計した下図の分子ではプロトン化,脱プロトン化による,直鎖−ターン構造の二次構造制御が実現できました。
 ポリ(L-ロイシン)はα―ヘリックスを形成しやすいことは知られています。α炭素を繋いでいる剛直なアミド平面を大きな剛直分子(拡張型アミドと呼びます)に代えることで大きなヘリックスが構築可能です。ビス(ターピリジン)ルテニウム錯体を用いることで右巻きの41らせん構造を実現できました。


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