第18回化学熱力学国際会議:ICCT-2004
―徂徠道夫名誉教授が全体講演―

標題の国際会議が2004年8月16日から21日までの7日間(実質的には17日から20日までの5日間)中国の北京で, 中国側の国内会議 The 12th National Conference on Chemical Thermodynamics and Thermal Analysis とジョイントした形で開催された.アジアでの ICCT の開催は,1996年の日本(大阪)以来の2回目である. 組織委員長は中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の閻 海科(Haike Yan)教授であった. ちなみに,彼は1984年に1ヶ月ほど熱容量測定による共同研究のため, 本学理学部化学科菅研究室(物性物理化学講座)に滞在されており, 我々熱グループの者にとっては非常に馴染みのある方である. 参加者は40ヶ国に及ぶ約450名(376名+同伴者)で,日本からは約40名が参加した. 会場は北京市街から北西に 20 km ほど離れた所にある香山公園内にある香山飯店というホテルであった. 会場が公園内ということで,非常に見晴らしの良い所で, 天気の良い昼間には息抜きに散歩するのに最適であった.

プログラムはロッシーニ講演,特別講演,一般講演から構成され, さらに一般講演は8つのシンポジウムと3つのワークショップからなり, 発表は口頭およびポスターの2つの形式で行われた.当センター関係者では, 徂徠道夫名誉教授が最終日(20日)に全体講演 “Entropy Diagnosis for Phase Transitions Occurring in Functional Materials” を行われた.内容は低次元分子磁性体, スピンクロスオーバー錯体,混合原子価錯体,電荷移動錯体と多岐にわたっていたが, 専門外の者にも非常にわかりやすく紹介された.講演後も多くの質疑応答があり, そのために時間が超過したのもやむを得ないことであった. その他,この4月に筑波大学に移動された齋藤一弥教授が招待講演(20日), 稲葉 章 教授が一般講演(17日)を行われた.宮崎はポスター発表(19日)を行った.

全体的に見ると,会議は成功裏のうちに終わることができたようであった. ただ残念だったのは,隣国でありながら日本からの参加者がさほど多くなかったこと, 東欧諸国からの参加者が少なかったことであった. 2年後のアメリカ・ボルダーでの会議に期待したいところである.

(宮崎裕司)

Report 1

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