ポーランドのクラクフから車で3時間の山岳保養地クリニッツァ(Krynica)のあるホテルルネッサンスにおいて,7月12日(日)から18日(土)の日程で開催されたこの会は, Jerzy Janik 教授(クラクフ核物理研究所)の友人や中性子散乱実験に従事する研究者を中心とする会合である. 筆者は前日の11日夜8時過ぎにクラクフ空港に到着したが, Wasiutyński 教授(クラクフ核物理研究所)が,すでに到着していた Cailleau 教授(レンヌ大学)と共に出迎えてくれ,そのまま深夜のドライブで会場に辿り着いた. 隔年に開催されるこの会は近年ずっとザコパネ(Zakopane)で場所を変えて行われてきたが,今回は新しい開催地が選ばれたようだ. 会の性格については2007年の本レポート(No. 28)で詳しく報告しているのでここでは省略し,プログラムを掲載しておく.
初日(日曜日)の午前中は,会場のホテルに隣接した教会に参加者の大半が出向いた. 比較的大きな教会であったが,300人ほどの礼拝者で立錐の余地がなく,2時間にも及ぶ説教とお祈りが続いた. あらためて,ポーランドは敬虔なクリスチャンの国であることを感じさせられた. その夕刻には,前回の参加者のうち死去した Prager 博士(ユーリッヒ研究所)と Witko 博士(クラクフ核物理研究所)の追悼式が行われた. それぞれ Press 教授(キール大学)と Wasiutyński 教授が追悼の辞を述べ,両博士の生前を偲んだ.
月曜日からは,定刻を1分と違わず Janik 教授の “Dear Friends” のかけ声で始まる講演会が始まった. 相変わらず全講演の司会を務め,すべてに対して適切なコメントや質問を投げかける. まことに怪物の教授である. Massalska-Arodź 教授(クラクフ核物理研究所)は会の財務担当であるが,とりわけ今回は国際的な財政危機のお陰で資金が苦しく,招待者からも一部参加費を徴収することになったようだ. しかし,参加者のほとんどが常連で毎回の顔ぶれはあまり変わりない. 本当に仲間内の集まりという印象である.
帰国前日の夕食はクラクフ市内で, Arodź 教授(ヤゲロニアン大学), Massalska-Arodź 教授ご夫妻の招待で, Wasiutyński 教授, Press 教授, Cailleau 教授, Rivail 教授(フランス)の7名で旧交を温めることになり,再会を誓ったのであった.
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