第62回カロリメトリー会議報告

2007年8月5日から10日にかけて,ハワイのオアフ島北海岸のタートルベイリゾートホテルで第62回カロリメトリー会議 (CALCON 2007) が開催されました. 当センターからは,稲葉教授,中澤教授,山下さん,鈴木の4名が参加し,7件の発表(口頭発表5件,ポスター発表2件)を行いました.

今回は,Brian F. Woodfield教授(Brigham Young大学)および阿竹徹教授(東京工業大学)の2人の組織委員長のもとで,日本熱測定学会とのジョイントミーティングとして開催されました. ジョイントミーティングとしては,4年前の第58回に続く2回目となりました. 共同開催に加えてハワイでの開催という地理的な要因もあり,およそ100名の参加者のうちの半数以上を日本人が占めていました.

CALCONでは,毎年,熱測定の分野で活躍する研究者に複数の賞が授与されます. 今年は,化学熱力学研究における長年に亘る世界的な貢献に対して送られるHuffman賞を阿竹教授が受賞され,熱測定に関わる日本の研究者の間で大きな話題となりました. 阿竹先生は大阪大学の関研究室,千原研究室のご出身で,われわれも大いに誇りに思うところです. 当センター関連では,優れた学生に与えられるGiauque賞を山下さんが受賞しました.

講演は,受賞講演,各分野の全体講演,一般講演(招待講演を含む口頭発表,ポスター発表)から構成され,一般講演は複数の分野の講演がパラレルに進行する形で行われました.

わたしは主にMaterial部門にいましたが,発表を聴いていてPPMSを用いた熱容量測定の報告が多いことに気付きました. PPMS (Physical Property Measurement System) とは,Quantum Design社が作製している市販の熱量計の一つです. 操作性が良く,微小試料の測定ができるため,当センターでも頻繁に使用する装置ですが,その普及率の高さを改めて知ることとなりました. わたしは,ポスター発表の一部で液体試料をPPMSで測定する方法について報告しましたが(本レポート 装置の整備1 参照),その箇所のみを聞きに来る研究者も少なくありませんでした. PPMSによる液体試料測定の報告は,Mary Anne White教授(Dalhousie大学)も行っており,お互いに情報交換をすることができ,有意義な時間を過ごすことができました.

9日のポスターセッション後にビジネスミーティングが開かれ,4年後のCALCON 2011は再び日本熱測定学会との共同開催にすること,また前年に提案されていたCALCON 2009をNATAS (North American Thermal Analysis Society) との共同開催にするという案を見送ることが承認されました. このNATASとの共同開催については,提案者の一人であるAllan Smith氏(Masscal Corporation)と昼食を共にした際に,同氏が「CALCONを発展させていくには,NATASとの共同開催が欠かせない」と,その重要性を熱く語っていたのが印象的でした. 「異分野交流」の難しさを改めて感じた一幕でした.

来年のカロリメトリー会議は,ニュージャージーで開催される予定です.

(鈴木 晴)

Picture of CALCON 2007 Photo 1. Huffman award lecture given by Prof. Tooru Atake.

Picture of CALCON 2007 Photo 2. A view of the Pacific ocean from Turtle Bay Resort.

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