ISCOM 2011 に参加して

 9月25日から30日の6日間ポーランド,ポズナンにおいて第9回 International Symposium on Crystalline Organic Metals, Superconductors and Ferromagnets(ISCOM 2011)が行われました.この国際会議は主に分子性導体の示す超伝導や磁気秩序,電荷秩序などについて議論する場であり,2年おきに開かれている会議です.この国際会議は分子性固体に関する国際会議の中でも最大規模の会議で,参加者は合成を専門とする研究者から,物性測定,理論計算を専門とする研究者まで様々な背景を持つ方々が参加します.そのため,毎回それぞれの方面で新規物質の合成や物性現象に関する測定結果など多種多彩な研究についての発表が行われます.

 物性物理化学研究室からは,山本貴助教と福岡が参加し,山本貴助教が「A Rich Variety in Ground States of [Pd(dmit)2]2 Salts, and Methodology for Analyzing Intra-dimer Interactions, Inter-dimer Interactions and MO Levels」というタイトルで超伝導,電荷秩序など様々な物性現象を示す[Pd(dmit)2]2塩について分光測定を用いて得られた研究の成果を口頭発表にて講演し,福岡は「Heat Capacity Measurements of Magnetic Conductor κ-(BETS)2FeX4」というタイトルで磁気秩序と伝導電子との間に相関が存在する物質について熱容量測定を用いて得られた研究結果についてポスター発表を行いました.

 私は前回の北海道,ニセコで行われた第8回 ISCOM 2009 に続いて2回目の参加でした.今回行われた発表の中には研究内容に近いものや,自身の研究にも生かすことのできそうな実験を行っているものなどが多くあり,学ぶことが数多くありました.今回の会議の中で,一線で活躍されている先生方の講演を聞くことができたこと,ポスターセッションで議論したこと,また,同年代の学生と交流を持てたことは,今後研究を行う上で,非常に貴重な経験になったと思います.

最後に国際会議に参加するにあたり,若手研究者大航海プログラム(ITP)から資金面で援助をいただきました.派遣にあたり,お世話をしていただいた関係者各位にお礼申し上げます.

(福岡脩平)

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