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実験室紹介

理学部本館 B107号室  (時間分解紫外共鳴ラマンスペクトルの測定)

B107・B109号室には、紫外パルス光を使った時間分解共鳴ラマン分光システムが設置されています。

紫外領域の光を用いると、芳香族アミノ酸残基(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニンなど)のラマンスペクトルを、共鳴効果によって選択的に測定することができます。また、アミド振動とよばれる、ペプチド結合に由来するラマンバンドを観測できます。ここからタンパク質の二次構造に関する情報を得ることができます。

タンパク質の立体構造を調べるうえでは、X線回折法やNMR分光法などがしばしば用いられます。しかし、これらの方法は、スタティックな構造調べるには大変有効ですが、ピコ秒領域の速い動きをとらえることはできません。高い時間分解能を持つ点は、ほかの方法にはない共鳴ラマン分光法の大きな特色です。

このような特色をもつ紫外共鳴ラマン分光法ですが、速い時間領域への応用は技術的難しさのため遅れていました。私たちは、可視共鳴ラマン分光システムの開発で培った技術を取り入れ、ピコ秒の時間分解能をもつ時間分解紫外共鳴ラマン分光システムを2005年に開発しました。ピコ秒時間分解紫外共鳴ラマン分光によるタンパク質ダイナミクス研究に関しては、現在のところ7報の報告がありますが、そのうち6報が私たちによるものであり、私たちはこの分野で世界をリードしています。

ピコ秒時間分解紫外共鳴ラマン分光装置

この装置には、

  • 種々の非線形光学技術を利用した、紫外領域に波長可変のピコ秒紫外光パルス発生システム
  • レーリー散乱光、可視領域の蛍光を効率的に除去するための、プリズム型前置分光器
  • ラマン散乱光の自己吸収効果を減らすワイヤーガイドフローシステム

などの工夫を取り入れています。これらの工夫によって、良質の紫外共鳴ラマンスペクトルの時間分解測定が可能になり、タンパク質の示す興味深いダイナミクスが明らかになってきました。

ワイヤーガイドフローシステム
ワイヤーガイドフローシステム
プリズム型前置分光器
プリズム型前置分光器
ピコ秒紫外光パルス発生系
ピコ秒紫外光パルス発生系