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実験室紹介

理学部本館 B108号室 (時間分解可視共鳴ラマンスペクトルの測定)

B108・B110号室には、可視パルス光を使った時間分解共鳴ラマン分光システムが2台設置されています。 1台はピコ秒からナノ秒領域のタンパク質ダイナミクスを観測するためのシステム、もう1台はナノ秒からミリ秒までのダイナミクスを観測するためのシステムです。タンパク質には、サブピコ秒からミリ秒にわたり幅広く連続的に重要なダイナミクスが存在します。タンパク質機能の分子メカニズムを明らかにするにはこれらのダイナミクスをすべて観測することが必要です。

これらの分光システムを用いて、主に、ヘム(ヘムタンパク質の活性部位)およびヘム周辺に起きるのダイナミクスを調べています。

ピコ秒時間分解可視共鳴ラマン分光装置

私たちは1997年に、ピコ秒チタンサファイアレーザーシステムをベースにしたものとしては、初めての時間分解共鳴ラマン分光装置を世界にさきがけ開発しました(Mizutani and Kitagawa, Science, 1997)。その後、いくつかの改良を経て高性能化が図られました。私たちは、この装置を用いて、タンパク質中のヘムに起きる高速の構造変化やエネルギー緩和を調べています。 また最近では、ハイパー共鳴ラマン分光法によるヘム周辺アミノ酸残基の選択的観測法の開発にも応用しています。

ピコ秒チタンサファイアレーザー
ピコ秒チタンサファイアレーザー
ラマン散乱検出系
ラマン散乱検出系
高効率の波長変換システム
高効率の波長変換システム

ナノ秒時間分解可視共鳴ラマン分光装置

2台の同期したQスイッチパルスレーザーを用いて、ナノ秒時間分解可視共鳴ラマンスペクトルを測定しています。一方のレーザーで反応を開始し、もう一方のレーザーで共鳴ラマンスペクトルを計測します。昨年度、それまで使用していた繰り返し周波数10 Hzのレーザーに代え、1 kHzのレーザーを導入しました。パルスの高繰り返し化によって、より高S/N比のスペクトルが得られるようになりました。また、新しく導入したレーザーは、紫外領域のパルス光を発生させることもできるため、時間分解紫外共鳴ラマン分光の測定も可能となりました。検出系も可視~紫外領域に対応できるよう、新規に分光器を導入しました。

ナノ秒高出力半導体レーザー
ナノ秒高出力半導体レーザー
ナノ秒チタンサファイアレーザー
ナノ秒チタンサファイアレーザー
分光器
分光器

マイクロ秒時間分解蛍光分光装置

高い時間分解能をもった、一分子蛍光スペクトル測定装置を現在開発しています。 これを使って、タンパク質の揺らぎやタンパク質複合体の形成・解離のダイナミクスを調べます。