研究成果 -Reserch-
糖タンパク質の合成研究
生体内の糖タンパク質上の糖鎖は、その糖鎖末端の糖残基が一部欠如するなど、糖鎖構造に不均一性があります(Glycoformと呼ばれています)。そこで、糖鎖の機能を調べるためには、単一構造の糖鎖を持つ糖タンパク質、糖ペプチドを合成する必要があります。現在、動物細胞を用いて糖タンパク質の調製がおこなわれていますが、この場合、必ずGlycoformとなります。したがって、現在のところ純度の良い糖鎖を持つタンパク質を調製するには、化学的な手法を利用せざるを得ません。そこで、現在、当研究室で確立したシアリル糖鎖を持つペプチドを用いて糖タンパク質の化学合成を検討しています。
例えば、Fig.1 のような糖タンパク質を合成ターゲットにした場合、アミノ酸配列中にあるシステインのところで切ったフラグメントの合成を計画します(Fig. 2)。

fig1
fig2
Kentらによって、ペプチドのC末端にチオエステルを持つペプチドとN末端にシステインを持つペプチドはFig. 3のようなNative Chemical Ligation反応によって縮合し、天然型の糖タンパク質を与えます。当研究室でもこの反応を利用して糖タンパク質の合成を検討しています。

fig3