高分子合成化学研究室(旧青島研究室)

Osaka U 大阪大学 大学院理学研究科 高分子科学専攻

高分子合成化学研究室(旧青島研究室)

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研究の詳細

5- A. ドミノ重合法によるモノマー選択的星型ポリマーのワンステップ合成

一般に星型ポリマーの合成には多段回の手順・反応を必要とするが,我々は最近,ワンステップで星型 ポリマーを合成する手法を見出した。この手法ではビニルモノマーとジビニル化合物の共存する反応溶液に触媒を添加するだけで星型 ポリマーが合成可能である。
 本手法のポイントはビニルモノマーと架橋剤であるジビニル化合物の反応性の違いである。まず,反応性の高いビニルモノマーが選 択的に重合し,その後ジビニル化合物が定量的に反応・架橋することで,星型ポリマーが生成する (下図)。さらにこの手法では,分子量分布の狭い(Mw/Mn< 1.2)星型ポリマーが高収率 (< 97%)で得られることがわかった。

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-関連する報告論文-
ド ミノ重合法による星型ポリマーの簡易合成

5- B. 触媒選択的なアセタール活性化を利用した新規グラフトコポリマーの精密合成

ここではグラフトコポリマーのシンプルな合成法について紹介する。新規重合系の項目で紹介したよう に,リビングカチオン重合の触媒に利用可能なルイス酸には様々な種類があり,それぞれのルイス酸は例えば親塩素性や親酸素性の強 さのバランスなどにおいて異なる性質を有している。例えば,TiCl4は酸素原子に対する親和性が高く, アセタールのアルコキシ基を引き抜いて活性種の炭素カチオンを生成できる(アセタール活性化能の高い)ルイス酸である。それに対 してEt1.5AlCl1.5やZnCl2などアセタール 活性化能の低いルイス酸もある。このようなルイス酸のアセタール活性化能の違いを利用して,グラフトコポリマーの合成を検討し た。
 まず,アセタール構造を側鎖に有するビニルエーテルとアルキルビニルエーテルのカチオン共重合を行った。この際に,アセタール 活性化能の低いルイス酸であるEt1.5AlCl1.5を用いることで,アセター ルは未反応のまま重合が進行し,分子量分布の狭いアセタール側鎖を複数有する直鎖状ポリマーが生成した。次に,このポリマーをマ クロ開始剤とし,TiCl4を用いて側鎖アセタールを定量的に活性種に変換して,ビニルエーテルの重合を 行うことでグラフトコポリマーが定量的に生成した。

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 さらに,この手法を応用して,例えばジビニルエーテルの架橋重合反応によって合成した可溶性ミクロゲルポリマーに複数存在する停止 末端アセタールを開始点とすることで,コアファースト法による星型ポリマー合成も可能となった。

-関連する報告論文-
触 媒選択的なアセタール活性化を利用したグラフトコポリマーの精密合成

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