青島研究室

Osaka U 大阪大学 大学院理学研究科 高分子科学専攻

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研究の詳細

3. 様々な刺激に対して高感度に応答するポリマーの合成

リビングカチオン重合により合成したポリマーは,分子量や分子量分布,シークエンスなどの一次構造 が緻密に制御されている。そのため,分子設計された以下のようなポリマーを,様々な刺激に対して非常に高感度に応答させることが 可能になった。

オキシエチレン鎖を側鎖に持つビニルエーテルポリマーは,水溶液中でわずか1℃の温度差を高感度に 認識し,LCST型の相分離挙動(可溶であったポリマーがある温度以上で不溶になる挙動)を示す。同じLCST型の相分離挙動を 示す代表的なポリマーとして知られるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) [poly(NIPAM)] が機能性材料に広く応用されているが,オキシエチレン鎖を側鎖に持つLCST型の温度応答性ビニルエーテルのポリマーはpoly(NIPAM)よりも非常 に高感度な応答性を示すことが明らかとなった (北海道大学・坪井先生との共同研究)。また,長鎖のアルキル基を持つ結晶性のビニルエーテルやフルオロアルキル基を有するフッ素含有ビニルエーテルのポ リマーが数多くの有機溶媒中でUCST型相分離挙動(ある温度以上で可溶になる)を感度良く示すことも明らかにした。これらの相 分離温度は,分子設計により自在にコントロール可能である。
 さらに最近,側鎖にイミダゾリウム塩構造を有するビニルエーテルのポリマーが水中でUCST型の温度応答性,有機溶媒中で LCST型の温度応答性を示すことを見出した。このような応答性挙動を持つポリマーは非常に珍しく,新たな機能性材料の創製に向 けた応用が期待される。

また,側鎖に嵩高い疎水基を導入したカルボキシ基含有ポリマーは,高感度なpH応答挙動を示し,側 鎖の疎水性を調節することにより応答pHの制御が可能であった。さらに,アゾベンゼンを側鎖に導入することで,光応答性ポリマー の合成にも成功した。

刺激応答性

-関連する報告論文-
水 中でLCST型の温度応答性を示すビニルエーテルポリマーの精密合成
水 中でUCST型ないし有機溶媒中でLCST型の温度応答性を示すポリマーの精密合成 (Open Access)
pH 応答性を示すポリマーの精密合成
光 応答性を示すポリマーの精密合成

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