研究の詳細
4- A. 温度応答性ポリマーフィルムの創製
当研究室で用いている温度応答性ビニルエーテルのポリマーはガラス転移温度が低いため,自立性のフィルムを作成できなかった。し
かし,脂環式炭化水素を有するビニルエーテルやスチレン類などガラス転移温度の高いセグメントと組み合わせて,ブロックコポリ
マーや星型ポリマーを合成することで,温度に応答して表面の濡れ性が変化するポリマーフィルムの作成が可能となった。
また,最近では水に対するLCST型の温度応答だけでなく,水に対してUCST型や有機溶媒に対してLCST型などの非常に珍
しいタイプの相分離挙動を示すポリマーを組み合わせることで,
様々な濡れ性変化のパターンを示すフィルムの作成も可能となった。
・様々 な応答パターンを有する温度応答性ポリマーフィルムの創製
4- B. 刺激応答性ポリマーを用いた表面改質
近年,当研究室において,アゾベンゼンを側鎖に有するポリマーは,ポリシロキサン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテ
レフタレートなど,様々なポリマーと相溶性があることを見いだした。この性質を利用して,アゾポリマーをアンカーとして用いたジブ
ロックコポリマーによる,簡便な方法での表面改質が可能となった。この方法を用いれば,上記のジブロックコポリマー溶液を基板となる
物質に数秒間浸すだけで表面改質が可能であり,例えば刺激応答性セグメントを有するポリマーを用いて,pHや温度に応答して表面の濡
れ性が変化する系の構築が可能となった。
・ア ゾベンゼン含有ポリマーをアンカーとした温度応答性ブロックコポリマーによる簡易表面改質
・ア ゾベンゼン含有ポリマーをアンカーとした温度応答性ブロックコポリマーによる簡易表面改質