青島研究室

Osaka U 大阪大学 大学院理学研究科 高分子科学専攻

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研究の詳細

2 - A. ミクロゲルコアを有する星型ポリマーの精密合成

リビング重合を用いると,様々な構造のポリマーを合成することが可能となる。ここでは,星型ポリ マーの精密合成について紹介する。一般に,星型ポリマーの合成法は大きく分けて三種類あり,多官能開始剤を用いる手法,多官能停 止剤を用いる手法,そしてジビニル化合物を架橋剤として用いる手法がある。
 当研究室では近年,ジビニル化合物を用いる手法により,分子量分布の狭い星型ポリマーを100%の収率で定量的に合成すること に成功した。この手法ではまず,アームとなる直鎖ポリマーをリビング重合により合成し,途中でジビニル化合物を添加することで架 橋反応によりアームが束ねられ,ミクロゲルをコアに持つ星型ポリマーが生成する。
 また,生成した星型ポリマーのミクロゲルコアを金属ナノ粒子の保護剤・有機反応の反応場として利用することも可能である。ま ず,塩化金酸(HAuCl4)を取り込ませて還元する手法により,アームとして温度応答性セグメントを有 する星型ポリマーの疎水性のミクロゲルコア中に金ナノ微粒子を合成し,内包させることができた。この星型ポリマーに内包された金 ナノ微粒子は有機反応の触媒として有効であり,例えばベンジルアルコール酸化反応が定量的に進行した。加えて,この星型ポリマー の有する温度応答性を利用した凝集・沈殿法により,金ナノ微粒子を内包した星型ポリマーと生成物を簡便な手順により分離・精製す ることができ,しかも金ナノ微粒子は凝集せず,活性を損なうこと無く複数回の再使用が可能であった。

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 最近は,数種類のアームを有するヘテロアーム星型ポリマーの合成やモノマー反応性の差を利用した星型ポリマーのワンステップ合成なども 検討している。

-関連する報告論文-
ミ クロゲルコアを有する星型ポリマーの定量合成
ポ リスチレン誘導体を枝鎖とする星型ポリマーの定量的高速合成 (Open Access)
星 型ポリマーを利用した温度応答性金ナノ微粒子の創製

2 - B. アルデヒド類とビニルエーテルの制御カチオン交互共重合と生成ポリマーの選択的加水分解

アルデヒドの重合は天井温度が低く,ビニルモノマーの重合に比べて困難である。中でも芳香族アルデ ヒド類は単独重合性が無く,カチオン重合ではスチレン類やイソプレンとの共重合においてのみポリマーが得られており,高い反応性 を有するビニルエーテルとの共重合において共重合体が得られた例は無かった。
 最近,当研究室ではリビングカチオン重合に有効な様々な新規開始剤系を用いて芳香族アルデヒド類とビニルエーテルとの共重合を 検討し,適切な条件下,共重合体が得られることを見出した。特に,1,4-ジオキサン存在下,EtSO3H/GaCl3開 始剤系を用いた場合に,制御重合が進行し,任意の分子量・狭い分子量分布を有する交互共重合体が得られることがわかった。交互共 重合体を得るためには適切な反応性のビニルエーテルと芳香族アルデヒドを組み合わせることが重要であった。また,生成した交互共 重合体は主鎖にアセタール構造を有しているため,酸性条件下で容易に加水分解され,元のアルデヒドと比較して共役系が一つ広がっ たアルデヒドが選択的に生成した。さらに,芳香族アルデヒドに加え,植物などに含まれる様々な共役アルデヒド化合物を用いた場合 でも同様に交互共重合体が得られることを見出した。

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-関連する報告論文-
ビ ニルエーテルと芳香続アルデヒドのカチオン交互共重合及び選択的加水分解 (Open Access)
ビ ニルエーテルと植物由来アルデヒドから成る分解性交互共重合体の精密合成

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