大阪大学大学院理学研究科 附属基礎理学プロジェクト研究センター 原田グループ ロゴ
  English

分子認識を肉眼で見る



 化学ゲルは高分子を共有結合で架橋したもので、高分子鎖をたどっていくとすべての鎖がつながっており、ゲル自体が一つの分子であるとみなすことができる。このようなゲルにホスト分子としてシクロデキストリンを結合させ、また別のゲルにゲスト分子を結合させた。これらホストゲルとゲストゲルは単に接触させるだけで二つのゲルが強く結合することを見出した。このゲルの接着と解離は光、溶媒組成、温度、pH、酸化還元などの外部刺激によりコントロール出来た。

 

分子が好みの分子を見分けて接着

 β-シクロデキストリン(ホスト)とアダマンタン(ゲスト)を含むポリアクリルアミドゲルを合成した。
 これら2種のゲルを接触させたところ強く結合した。驚くべきことに、このゲルの接着力は接合面のホスト-ゲスト相互作用のみにもかかわらずピンセットで持ち上げたり、激しく振ったりしてみてもまったく離れなかった。そこでゲルを無理やり剥離させるために引っ張ったところ、ゲルの接合面では離れずゲストゲル自体が壊れた。ホスト-ゲスト相互作用だけで結合している接合面がゲルそのものよりも力学的に強かった。
 ホストゲルはシクロデキストリンのサイズを変えることにより異なるゲストゲルと選択的に接着した。この選択的接着はall-or-nothingで交差反応は起こらず、完璧な選択性を示した。このような選択性はホストとゲストが低分子量の時には観測されず、ホストゲストがゲルに固定化されて現れた現象である。
Harada, A.; Kobayashi, R.; Takashima, Y.; Hashidzume, A.; Yamaguchi, H., Nature Chem. 2011, 3, 34-37.
Yamaguchi, H.; Kobayashi, R.; Takashima, Y.; Hashidzume, A.; Harada, A., Macromolecules 2011, 44 (8), 2395-2399.
Zheng, Y.; Hashidzume, A.; Takashima, Y.; Yamaguchi, H.; Harada, A, Langmuir 2011, 27(22), 13790-13795.
Nature (Highlight), Chemistry World, 読売新聞、日経産業新聞、時事通信社、共同通信社など


ページのTOPへ