本センターは改組により2009年4月から構造熱科学研究センターとして新たな10年をスタートした. そのミッションを「精密熱科学及び構造科学の融合による物質観の創生を目指し,積極的な国際協力研究を行うこと」としている. 発足を記念して,7月には「第1回構造熱科学シンポジウム」を開催した. これまでの経緯については昨年の本レポート(2008年 (No. 29) )に記したが,熱をキーワードとした世界的にも希有なセンターの存在意義は非常に大きい.
本年は,国立大学法人化で始まった第一期中期計画の最終年度にあたり,その総括とともに第二期中期計画の策定が行われた. 一方で,新政権の下にいわゆる事業仕分けが行われ,大学といえども益々厳しい目で常に存在意義が問われる時代となっている.
本レポートの巻頭は,東島清理学研究科長による新センター発足の挨拶,日本熱測定学会会長の吉田博久先生からの祝辞,ならびに前身の施設の生みの親である関集三先生(日本学士院会員,大阪大学名誉教授)をはじめ,これまでセンターを支え,大きく発展させてこられた先生方からの激励文(関集三先生,千原秀昭先生,菅宏先生,徂徠道夫先生,松尾隆祐先生)で飾ることができた. 厚くお礼を申し上げます. 本号で No. 30 となる「阪大化学熱学レポート」のバックナンバーはホームページ (http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/micro/index.html.ja) にも掲載しているのでご覧いただきたい.
教授 | 稲葉 章 | 構造熱科学研究センター(センター長) |
教授 | 大貫 惇睦 | 物理学専攻 |
教授 | 笠井 俊夫 | 化学専攻 |
教授 | 佐藤 尚弘 | 高分子科学専攻 |
教授 | 滝澤 温彦 | 生物科学専攻 |
教授 | 中澤 康浩 | 化学専攻 |
教授 | 深瀬 浩一 | 化学専攻 |
教授 | 渡會 仁 | 化学専攻 |
センター長(兼) 教授 |
稲葉 章 | |
講師 | 長野 八久 | |
講師 | 宮崎 裕司 | |
助教 | 高城 大輔 | |
事務員(兼) | 細川 裕子 | |
教授(兼) | 佐藤 尚弘 | (高分子科学専攻) |
教授(兼) | 中澤 康浩 | (化学専攻) |
准教授(兼) | 竹谷 純一 | (化学専攻) |
助教(兼) | 山本 貴 | (化学専攻) |
国際会議ならびに国内学会で行った研究発表は別途,リストにして掲載してある. 国際会議については報告記事を参照していただきたい. センターが推進メンバーとして参画しているグローバルCOE「生命環境化学グローバル教育研究拠点」の中間評価が行われ,その国際活動について非常に良い評価が得られたとのことである. また,留学生30万人計画ならびにグローバル30などの教育プロジェクトによって,とりわけ東南アジアからの留学生(大学院生だけでなく学部学生)を招くことが理学研究科全体で重点的に行われている. センターでもその一翼を担うべく,プロモーション活動に参画している.
センター専任の教員は全員,講義担当や学生実験担当という教育面でも化学専攻の基幹研究室と同等に分担している. 本務での講義担当の外,他大学での講義などにも可能な限り要請に応じている.
稲葉は,福岡大学理学部において2009年9月に集中講義「凝縮系の構造熱科学」を行った. また,広島学院高等学校において2009年7月および11月に,2年生および3年生を対象にそれぞれ講演を行った. 宮崎は,奈良女子大学理学部化学科4年生を対象とする講義「物性化学」を担当した(2009年4〜7月). 竹谷は,広島大学において2009年7月に集中講義「有機化学の拓くエレクトロニクス」を行った. 本務の教育活動として,それぞれ講義・セミナー・学生実験などを担当している. 今年度の担当は以下の通りである.
基礎セミナー(化学フロンティアV):稲葉,宮崎,高城,中澤,竹谷,山本 /国際教養科目(平和の探求):長野 /化学概論:宮崎,竹谷 /化学熱力学:長野 /基礎化学1:中澤 /自然科学実験1:高城
基礎セミナー(平和研究入門):長野 /化学熱力学:長野 /化学入門セミナー2:稲葉,竹谷 /自然科学実験1:宮崎
化学熱力学1:稲葉 /共通教育化学実験:長野,竹谷
化学熱力学2:稲葉 /化学オナーセミナー2:中澤 /基礎化学実験:長野
統計力学概論:中澤 /化学実験1:長野,宮崎,高城,竹谷
統計熱力学演習:宮崎,竹谷
物性化学:中澤 /化学熱力学3:中澤
構造熱科学:稲葉,長野,宮崎 /凝縮系物理化学:中澤 /大学院物理化学:中澤 /固体電子物性:中澤
この1年間に修士(理学)が9名誕生した.
本センターが活動の場としている日本熱測定学会では,稲葉が会長任期(2年)を終えた. また,プログラム委員長を務めるICCT-2010(つくばで開催予定)の準備作業が大詰めを迎え,講演および参加の申込みをスタートする運びとなった. 大阪におけるポストコンファレンスの準備も進行中である. 今年の各人の活動状況を以下に記す.
氏名 | 目的国 | 目的 | 期間 |
教授 稲葉章 |
米国 | The 64th Calorimetry Conference を企画・出席 (サンタフェ) |
自 2009.6.27 至 2009.7.3 |
教授 稲葉章 |
ポーランド | The 26th Janik's Friends Meeting に出席 (クリニッツァ) |
自 2009.7.11 至 2009.7.20 |
教授 稲葉章 |
マレーシア | マラヤ大学(クワラルンプール)および マレーシア工科大学(ジョホール)で講演 |
自 2009.8.2 至 2009.8.7 |
教授 稲葉章 |
イタリア | IDMRS2009 に出席 (ローマ) | 自 2009.8.29 至 2009.9.6 |
博士後期課程学生 鈴木晴 |
イタリア | IDMRS2009 に出席 (ローマ) | 自 2009.8.29 至 2009.9.6 |
教授(兼) 中澤康浩 |
イタリア | IDMRS2009 に出席 (ローマ) | 自 2009.8.31 至 2009.9.6 |
准教授(兼) 竹谷純一 |
米国 | American Physical Society, March Meeting に出席 (ピッツバーグ) |
自 2009.3.14 至 2009.3.18 |
准教授(兼) 竹谷純一 |
米国 | Material Research Society, Spring Meeting に出席 (サンフランシスコ) |
自 2009.4.13 至 2009.4.18 |
准教授(兼) 竹谷純一 |
シンガポール | International Conference on Materials for Advanced Technologies に出席 |
自 2009.6.28 至 2009.7.1 |
来訪者 (Visitor) |
所属 (Affiliation) |
訪問期間 (Visiting days) |
Mr. Oscar Camacho | National University of Columbia, COLUMBIA | April 3, 2006 – March 31, 2009 |
Dr. Xiaozheng Lan | Shandong Agricultural University, CHINA | March 31, 2007 – April 1, 2009 |
Dr. Ewa Juszyńska | Institute of Nuclear Physics, Kraków, POLAND | March 30 – October 2, 2009 |
Dr. Yoshikata Koga | University of British Columbia, CANADA | October 1 – December 1, 2009 |
Dr. S. A. E. Boyer | Universite Blaise Pascal, FRANCE | October 17, 2009 |
Prof. C. Bor Fuh | National Chi Nan University, TAIWAN | November 20, 2009 |